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「あんた、繋がりとか絆とか馬鹿にしてたけどさ。それに一番固執してたのは、本当はあんたの方でしょ?」

「なん、ですって……?」

「血鬼術が糸ってそういう意味なんじゃないの? あんた言ってたじゃん。糸っていうのは結ぶものだって。それを血鬼術にしてるって、そういうことでしょ?」

「……ぁ」

「あんたにもなにか、その糸で繋ぎ止めておきたいものがあったんじゃない?」


見開かれた赤い瞳が震えた。

守りたかったもの? 守りたかった、もの? 自分が、守りたかった……ああ、そうか。


「守り、たかった……繋ぎ止めて、おきたかった、もの……」


今更気づいたのだ。いや、本当はずっと昔から気づいていた。きっと、気づいていたはずなのだ。


「ごめ、なさ……」


視界が滲んで、ぼろり、と涙が零れた。溢れたものは止まることなく、ただぼろぼろと零れ地面を濡らしていく。


「ご、めん……ごめん、ねぇ……」


身体が崩れていく。炭クズの様に崩れて、宙をひらひらと舞っていく。
受け入れたくない。けれど受け入れるしかない。自分が死ぬ現実を、事実を、事象を。自分の手が、また届かなかった無力さを。

また、守れなかった。“あの時”と同じで、また守れなかった。また、また。


「よわいおねえちゃんで……ごめんね……」


顔が引き攣る感覚の中、震える声でなんとか言葉を紡いだ。鼻の奥がツンとして、視界が細くなり涙が溢れる。嗚咽混じりの声を、月白の少女はただただ静かに聞いていた。


嗚呼、嗚呼。本当にごめんね。貴方を守りたかったのに。繋ぎ止めて、いたかったのに。









「ごめ……ね…………るい……」


むりょくなおねえちゃんで、ほんとうにごめんなさい。

*→←第62話 繋ぎ止めておきたかったもの



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ユズヒ(プロフ) - 神月莉乃さん» コメントありがとうございます! すみません、こっちの準備を整えてからパスワードを外そうと思い遅くなってしまいました…。もうパスワード保護は外して全体公開にしているのでぜひ読んでくださいね!! (2019年12月8日 16時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
神月莉乃(プロフ) - もしかして続編ってパスワードかけてるやつですか?出来ればパスワード外してくれると嬉しいです!身勝手なお願いをしてしまい申し訳ないです…続編を出すならパスワードなしにしてもらえると嬉しいです!更新待ってます! (2019年12月8日 16時) (レス) id: a219a83582 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» いいですよねあのシーン。私も好きです! 柱からしてみれば本当に得体の知れない存在ですからね…。人間分からないものは恐れてしまうもの…。あの二人のあのシーンを書きたいがために頑張りましたとも!! 優しい!! 世界!! (2019年12月2日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 一日に何回コメントするのこの馬鹿夜美は。でも、生殺与奪の権って言葉が出てきて、あー!ってなりました。そのシーン好きなんです。柱から恐れられる(?)って相当だなぁ。そしてやっと帰ったぞ蝶屋敷ぃ!優しい人が多いねえ。紋逸と権八郎はナイス! (2019年12月1日 23時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - jolinさん» コメントありがとうございます!! ハマってくれて嬉しいです!これからもよろしくお願いしますー!! (2019年12月1日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年10月22日 21時

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