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暗い暗い山の中。そこに佇む真っ白な男の子は、あたしを見た途端冷たい視線を向けてきて、何か用、と問うた。

別に。ここでなにをしているの、と聞けば、家族と暮らしていると返ってきて。
更に聞くところ、どうやらこの子は鬼を集めて自分の家族を作っているらしい。
作る、なんて言っても、自分の血を与えて力を分けて、顔の皮を剥がして自分と似た様な見目にさせる、薄っぺらい繋がり。
しかも、家族というものに役割を強いている始末。そんなの家族なんかじゃないのにね?

くだらない、と笑い飛ばせば、あたしの後ろにあった木が音を立てて切り裂かれた。
なるほど、彼は“あたしと同じ”糸を用いた血鬼術を使うらしい。

よいしょ、と木と一緒に切り裂かれた自分の頭を拾い上げてくっつける。
切られたのが頸だけでよかった。身体も、だったらくっつけるのがちょっと面倒だもの。


「じゃあ、あたしもその中に入れてちょうだい」

「……は?」


何を言っているんだこいつは、みたいな声で、彼はあたしに訝しげな顔を向けた。
人形を抱いたまま笑ってもその怪訝な顔が晴れることはない。


「家族にならせて、って言ってるの。だってその方が面白そうだもの」

「……何言ってるの」


くすくす笑って彼に近づく。
彼の両手にあやとりみたいに張り巡らせた糸がぎりぎり音を立てていた。

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ユズヒ(プロフ) - 神月莉乃さん» コメントありがとうございます! すみません、こっちの準備を整えてからパスワードを外そうと思い遅くなってしまいました…。もうパスワード保護は外して全体公開にしているのでぜひ読んでくださいね!! (2019年12月8日 16時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
神月莉乃(プロフ) - もしかして続編ってパスワードかけてるやつですか?出来ればパスワード外してくれると嬉しいです!身勝手なお願いをしてしまい申し訳ないです…続編を出すならパスワードなしにしてもらえると嬉しいです!更新待ってます! (2019年12月8日 16時) (レス) id: a219a83582 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» いいですよねあのシーン。私も好きです! 柱からしてみれば本当に得体の知れない存在ですからね…。人間分からないものは恐れてしまうもの…。あの二人のあのシーンを書きたいがために頑張りましたとも!! 優しい!! 世界!! (2019年12月2日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 一日に何回コメントするのこの馬鹿夜美は。でも、生殺与奪の権って言葉が出てきて、あー!ってなりました。そのシーン好きなんです。柱から恐れられる(?)って相当だなぁ。そしてやっと帰ったぞ蝶屋敷ぃ!優しい人が多いねえ。紋逸と権八郎はナイス! (2019年12月1日 23時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - jolinさん» コメントありがとうございます!! ハマってくれて嬉しいです!これからもよろしくお願いしますー!! (2019年12月1日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年10月22日 21時

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