第19話 神の山への侵入者 ページ48
「なりたくない、って思ってたけど、なる。私さ、覚悟が足りなかったの。炭治郎見て分かった。私強いつもりでいたけど、まだまだ全然弱い。いや技術的にはそこそこ強いと思うけど精神面じゃ全然ダメ。だからあの時動けなかった。だから、もっと強くなりたい」
伸ばした手がちゃんと届くように、強くなりたい。
「それに、分からないことをそのままにしておきたくない。無知は人を殺す。私を、もしかしたら神様も殺しちゃうかもしれない。大事な誰かを守れないかもしれない。伸ばした手が届かないのは嫌だ。けど、掴んだ手を引けないのはもっと嫌だ」
私が無知じゃなければ守れた、なんて後悔、したくない。
「だから………………入るよ、鬼殺隊」
神様の綺麗な碧の瞳が見開かれた。
ああ、驚かれている。そりゃそうか。だって私、嫌だっていったもんね。そういう反応にもなるよね。
でも、これはもう決めたこと。決意したこと。
神様だって、私が鬼殺隊に入った方が得られる情報が多いのだからそっちの方がいいに決まってる。そもそもそういう話だったしね。
だから、賛成してくれるはずだ。
「…………えぇ〜〜?? やめない? 鬼狩りに入るの」
だというのに神様この野郎は渋るような顔をしてそんなことを言い出した。
ふむ、と横に置いておいた刀を掴んで、すらりと抜いて、私も一言。
「斬るわ」
「待て待て待て待て、ちょっと待て落ち着くのじゃって!」
「私今なら神殺しになれるわ」
「ならんでよいから!!」
え、神様殺せるのかって? いける。今ならやれる気がする。頑張れ私。いけるぞ私。
「話を! 話をな!? 話を聞くところから始めんか!? 儂らの仲じゃん!?」
「JKみてぇなこと言ってんじゃねぇよこの野郎!!」
「JKってなに!?」
「鬼殺隊が来たぁ? また?」
「うむ。しかも今度は二人での」
なんとか落ち着いて話を聞く体勢(と言っても刀は持ったまま)でいれば、神様がそう言ったのだ。この前も鬼殺隊の人……ほらあの黒髪の。
あの人が来たってのに、なんでまた来たんだろう。再三言うけど私は鬼じゃないし、神様だって言わずもがなだから鬼狩りの対象じゃないはずなんだけど……。
っていうか二人ってどういうことよ。
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月17日 0時