第18話 空気に呑まれる ページ43
「……で、帰るのが遅れた、と」
「いやあの、ごめんて……」
ちゅんちゅん、と雀の鳴く声がして、そういえば善逸の鎹も雀だったなと思い出した。
炭治郎を送り届ける頃には日はとっぷり沈み、鬼が出てもおかしくない時間帯だった。
送り届ける、と言っても、私は炭治郎が住んでいる山奥の小屋の少し手前で引き上げて来たのだが。いや本当はちゃんと最後まで送ろうと思ったんだけど、本人がここまでで大丈夫だ、Aも早く帰った方がいいって頑なだったから仕方なく。
後をつけようかなとも思ったんだけど、匂いでバレるだろうからやめた。あと、なんか見られたら困るものでもあったのかなって思ったから。
で、帰り着いた頃には日が昇っていた、と。
別に送り届けてたから朝になったとかでは全くなく、私がただ単に疲れて途中で休憩をとったってだけなんだけど。
緊張の糸というか、張り詰めていたなんやかんやがおかげさまで全部解けて、代わりにきたのは疲れだった。
近くにあった木の下で少し休んで行こうと思って目を閉じて開けたらあらびっくり。もうすぐで太陽が昇る時間帯だったというわけだ。
閉じて開けたら、と言ったが、ちょっと休むつもりがどうにも爆睡してしまったらしい。どれくらい寝たのかもちょっと分からない。
ただ、目を覚まして朝だなって思った時に一番に思ったのは、「神様怒ってるかもなめんどくさいな……」だった。思春期の娘かってね。
「あのなあ、これでもちょっと儂心配したんじゃぞ？ それをお主、寝とったって……」
「寝るつもりはなかったんだって……ちょっと色々あって……」
「はあ、色々、のう……？」
「ごめんて……」
お面をつけてない美丈夫が、いかにも「不機嫌です」といった顔で私を見下ろした。しんどい。美丈夫が近くにいるのもしんどいのになんでそんな顔向けられにゃあかんのか。
…………いや間違いなく私が悪いねごめん。
「……まあよいわ。よく戻った。入れ」
「わーい」
玄関前での会話は早々に終止符を打った。ただいまー、と小屋に入れば、嗅ぎ慣れて気にもならなかった藤の香の香り。
これが私の体臭になりかけているとは、なんかどういう反応すればいいか分からんね。
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ひめ(プロフ) - 手鬼遭遇時の夢主の心中がまさに『平和な日本で生きた転生者』の葛藤でとても惹き込まれました。まあ実際鬼滅世界に放り込まれたらこうなりますわな…って思いが強いです。面白い！！ (2022年11月18日 17時) (
レス) @page50 id: 46aa1d2279 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルーナさん» コメントありがとうございます！私なりに調べてみたのですが、“一息で言う”という意味で“ノンブレス”と使う方が多く、夢主もそっち側かなぁと思いこちらの単語を使いました。今の所変更する予定はないのですが、読みづらくなっていたのなら申し訳ありません。 (2020年3月28日 2時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譽好譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譴轡譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルイリカさん» あ！！？？本当ですね！！？ ご指摘ありがとうございます！ 修正致しました！！ (2020年3月18日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユズヒ
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作成日時：2019年7月17日 0時
