第13話 数多の人を喰った鬼 ページ9
唯一の明かりは月明かりのみ。
毎晩夜の山を駆け回っているおかげで夜目はきくようになってるけど、場所が違うだけあって雰囲気もやっぱり違っている。慣れない場所ってこんなに不安になるもんなのね。忘れてたな……。
がさり、と近くの茂みが揺れた。
そちらに目を向ければ、そこには当たり前のように鬼がいて。げんなりと顔を顰める。
「わお。さっそくとは大歓迎じゃない」
数は二。山で見る鬼は基本一体ずつだったから複数でいるのは初めて見た。
それとも、場所が限定されてるから固まっているんだろうか。そんなこと言ったら山だって限定されてる場所だし……んんん？
「久方ぶりの人肉……しかも女だ、女ァ！」
「ああああたしが食べるのよォ！ 邪魔しないで！」
「うるせぇ！ あれは俺の獲物だ手ェ出してんじゃねぇ！」
男と女。なんだかうるさく喚いていて、とてもじゃないが仲がいいとは思えない。っていうか勝手に人のことを食べる食べないで揉めないでほしいんだけど。勝手に私のことご飯にしないでほしいんだけど！！ 待って女の方！ 今私のこと臭いって言った！？ おっけーぶっ殺！！
「……はぁー……」
思わずため息が零れたのは仕方ないと思う。
なんか未だに言い争いをしているし、なんならこのままあの二体が共倒れしそうな勢いだ。
そうなると楽でいいんだけど、まあ無理だろうな！！ 分かってたとも！！
かちり、と腰元で刀を構えて二体に向き直る。左足を半円を描くかのように後ろに下げて、左手で鞘を支え、右手で柄を握る。重心は右足七割、左足三割ってところか。背筋を伸ばしたまま俯いて、目を瞑って。
「“全集中・
スゥウウウウ、と息を大きく吸い込んだ。肺が膨らむんでいく感覚と、身体が熱を持つ感覚。
強く地面を踏みしめて、前に跳ぶ。風が頰を撫でて髪を躍らせるのはいつものことだった。
相手と私の中間地点で片足を前に出しその足のみで着地、そこで膝を曲げさっきの踏み込みの勢いも乗せて地面を更に強く踏み込んで、次は真っ直ぐ相手方に低い跳躍で突っ込んでいく。
途中、足を畳んで地面に触れないようにして、きん、と刀を鞘から抜いた。
「“弐ノ型 水斬り”」
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ひめ(プロフ) - 手鬼遭遇時の夢主の心中がまさに『平和な日本で生きた転生者』の葛藤でとても惹き込まれました。まあ実際鬼滅世界に放り込まれたらこうなりますわな…って思いが強いです。面白い！！ (2022年11月18日 17時) (
レス) @page50 id: 46aa1d2279 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルーナさん» コメントありがとうございます！私なりに調べてみたのですが、“一息で言う”という意味で“ノンブレス”と使う方が多く、夢主もそっち側かなぁと思いこちらの単語を使いました。今の所変更する予定はないのですが、読みづらくなっていたのなら申し訳ありません。 (2020年3月28日 2時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譽好譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譴轡譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルイリカさん» あ！！？？本当ですね！！？ ご指摘ありがとうございます！ 修正致しました！！ (2020年3月18日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユズヒ
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作成日時：2019年7月17日 0時
