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「え、え、もしかして売られたの……? (かか)様や(とと)様に? 今さっき? え、売られたばかり? 大丈夫なの……?」

「え」


なんだこの人。情緒の浮き沈みが激しいな。我儘言ってると思ったら、いきなり私のことを気にかけ始めて、お饅頭あるけど食べる? あの、甘いもの食べると元気出るわよ? とか言ってきてるんだけど……。お饅頭は頂きます。


「売られてすぐに泡雪のところに来たの?」


お饅頭の中身はこし餡。さっき伊之助から奪って食べたお饅頭も美味しかったけど、これはこれで超美味しい。


「んぐ、はい。お前はすぐに客前に出すから、早く遊女として必要なものを学びなさいと」

「すぐに客前に出す!? 女将さんがそう言ったの!? だから泡雪のところに!? ええ……かわいそう……」

「えええ……」


すごい。初対面の人に哀れまれた。ちょっと初めての経験。


「だって、だって、遊女って大変よ? 泡雪はもう花魁だから、変な客はいないけど……花魁になる前は変な客も結構いたから……遊女って、辛いことも多いし……」

「……承知の上なので」


大変に不本意だけどな!! 遊郭に潜入なんてあのクソ美丈夫からの指示だから!? 大変に不本意だけどな!?
困ったような笑顔の裏でそうギャンギャン叫んでいたら、突然ぶわり、と泡雪花魁の硝子玉のような大きな瞳から涙が溢れた。
……は!? いや本当なに!?? ここまで来ると怖いんだけど!!


「あな、あなた、いい子なのね〜! そんな、そんな我慢しなくていいのよぉ! 辛い時は辛いって、言っていいのよ〜〜!」

「いやあの、泣き止んで! 泡雪花魁! 化粧が! お化粧が!! っていうかなんでそんな泣いてるんですか!?」

「だってぇ! 泡雪、(とと)様に売られた時、悲しかったからぁ!」


ずびずび鼻を鳴らしながらそう訴える彼女は、とても価値のある遊女に見えない。っていうか、今泣いてるのってもしかして私のせい? 自分が売られて悲しかったから、私も悲しいだろうって思ったってこと? いやこの人なんだ。いい人? いい人なの?


「あのあの、そんな、私平気なんで、泣き止んで!」

「平気なわけないじゃないいい! ゔぇ、うぅぅう……!!」

「あああああ、おか、女将さーーん!! 泡雪花魁が! 泡雪花魁がーー!!」


泣きじゃくる彼女をどうすることもできず、最終手段である女将さんを呼んだ。
やばいこれ、私ここでやっていけないかもしれない。

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ユズヒ(プロフ) - 星さん» コメントありがとうございます! そして大変長らくお待たせ致しました! 更新並びに続編に移行致しましたので、ぜひお読み頂ければと思います!! (4月2日 2時) (レス) id: 53b9d42206 (このIDを非表示/違反報告)
- ...よし、もう一周見てくるか! (4月1日 12時) (レス) @page46 id: 807ae8eba5 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - maiさん» コメントありがとうございます! わーー!!頑張ります!!!! (10月13日 22時) (レス) id: 53b9d42206 (このIDを非表示/違反報告)
mai(プロフ) - 更新楽しみにしています😭 (10月12日 13時) (レス) @page46 id: bfff11b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 青白の狼さん» コメントありがとうございます!そして録の更新を怠ってしまい申し訳ありません…!先程、録を更新してまいりました。夢主を指名した鬼の設定はまだ明かせませんが、今までに出てきた鬼や人の設定を追加しておりますので、お時間ある時にお読み頂ければ幸いです〜! (6月5日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年11月14日 3時

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