【鬼滅の刃】神様の巫女 拾弐

＊ ページ6

クソ美丈夫の方に駆け寄ると、そいつは私に合わせてその場を少し離れた。やり手さんや炭治郎達に話が聞こえないくらいに距離をとる。


「なんだよ」

「私、あのお店行きたいです」

「あ？」


すごい顔を顰められた。でも何かを察したのかすぐに表情を元に戻す。煉獄さんの時も思ったけど、頭の回転が速い。面倒くさそうにぼりぼりと後ろ頭を掻くその姿さえ様になっていて、ちょっと本当に飛び蹴りをしたくなる。でもなるべく触りたくないし……。


「あﾞーー……そういうことね」

「やだ察しが良い……腹立つぅ……」

「お前、この俺様が察してやってんだから泣いて喜べよ」

「あーはいはい。ソウデスネー」

「こいつ……」


やだやだ。クソ美丈夫は怒ってばっかりね。短気は嫌われるんだからな。そのまま離婚してしまえ。なんかこう、こっぴどくフラれてほしい。……まあ冷静に考えて、手紙の書き方的に離婚の可能性は限りなくゼロだと思うんだけど。


「まあ察して頂いてる通りですよ。三つに絞ったのは、お嫁さんが三人だったから。その三件に今から炭治郎達が潜入に行くなら、潜入された店より潜入されていない店の人間を喰うと思うんですよね。されていないって言うか、正確に言うと“潜入されていないと思い込んでいる”ってだけですが」


まあつまりは、無限列車の時みたいなものだ。補欠、というか、もしもの為の時の人員というか。外野に誰かがいた方が、何かあった時も対処できるでしょ。多分。網は大きい方がいいし。


「分かった、じゃあお前はかたお屋な。あそこのやり手は一癖あるらしいが……まあどうにかなんだろ、お前なら」

「がんばりまーす」


説得(と言っていいのか分からないけど)成功。
神月A、就職決定です。
………………全然嬉しくないな。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す