第103話 関わってはいけない事 ページ11
「誰か見つけたの?」
文字通り、泡のように儚い時間を客と過ごし、妓楼に戻ってきた泡雪花魁にそう聞かれた。……まあ、“泡のように儚い時間”は客にとって“は”、だし、泡雪花魁にとっては単なる金払いの良い客の内の一人への接待で、今日で稼いだ額は全然泡のように儚い額ではないんだけれども。
それはそれとして。お勤めを終えてすっかり一人の女の子に戻った彼女は、同じ部屋にいる私を見るなりそう聞いてきた。
「え」
「そうなんですよ! この、こいつ! 泡雪花魁の顔に危うく泥を塗ろうとしたところで……!」
「まあ、泡雪の顔に泥を塗るのは別に構わないんだけど」
「良くないでしょうが! 良くないですよ泡雪花魁!!」
……うるさい。なんか善逸並みにうるさい。なんだこいつ。
ぎゃいぎゃい騒いで私のことを目の敵にしているこの男は、さっきの列で私を叱責した男だった。立ち止まって、少しの間ではあるけど列を乱したのは私なので文句を言われても仕方ないし、当然だとは思うんだけど……それはそれとして、熱量がすごい。泡雪花魁に対しての熱量が、すごい。愈史郎君みたい。
というか、禿でも新造でもない奴がなんでここにいるのか。お前男だろうが。働けよ。
「
「ですが泡雪花魁」
「燕」
「…………ちっ」
舌打ちした! こいつ今舌打ちした!! 愈史郎君じゃんこいつ!! 同じ感じのやつじゃん!! 会ってそんなに経ってない奴に舌打ちする!? お前がその気なら私だってやり返すんだからな!
「……実は……さっきの人だかりの中に、私を売った人が居て……」
「そんな……! そうだったのね……それは立ち止まっちゃうわよね。そうとも知らずに、燕がごめんなさい」
「よよよ……」
「ああ泣いてる! 泣かないで! 燕、謝りなさい!」
「こいつ今“よよよ”って言いましたよ。本当に泣いてる奴は“よよよ”なんて言いませんよ泡雪花魁」
「よよよよよよ……」
「燕!」
「お前絶対嘘泣きだろうが!!」
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ユズヒ(プロフ) - 星さん» コメントありがとうございます! そして大変長らくお待たせ致しました! 更新並びに続編に移行致しましたので、ぜひお読み頂ければと思います!! (4月2日 2時) (レス) id: 53b9d42206 (このIDを非表示/違反報告)
星 - ...よし、もう一周見てくるか! (4月1日 12時) (レス) @page46 id: 807ae8eba5 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - maiさん» コメントありがとうございます! わーー!!頑張ります!!!! (10月13日 22時) (レス) id: 53b9d42206 (このIDを非表示/違反報告)
mai(プロフ) - 更新楽しみにしています😭 (10月12日 13時) (レス) @page46 id: bfff11b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 青白の狼さん» コメントありがとうございます!そして録の更新を怠ってしまい申し訳ありません…!先程、録を更新してまいりました。夢主を指名した鬼の設定はまだ明かせませんが、今までに出てきた鬼や人の設定を追加しておりますので、お時間ある時にお読み頂ければ幸いです〜! (6月5日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2022年11月14日 3時