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「その兄に、全く歯が立たず心が折れた、と」
「せっかく綺麗に包んだのになんでビリビリに破いてくるのお前」
はー、と顎を触りながら人の気も知らずにそう言ってくる神様を恨めしげに睨む。確かに纏めてしまえばそうだけど、頑張って包みに包んだしその手の言葉を言わないようにしてたのにどうして容赦なく言ってくるのか。
「まあ……聞いとる限りは強いわな、
「あれも異能ではあるんだろうけど、あんなの有りとか勝ち目なさすぎるでしょ。どうにか縛って陽光に浴びせるしか手段が無い。でも大人しく縛られてくれるわけないし」
そうじゃの、と神様がお茶を啜りながら眉を寄せた。いつの間にやら取ったお面は自分の傍らに置いている。とっととお面をつけてほしい。切実に。
「それも問題なんじゃが、もし本当に、いざ殺せるってなった時、お主さー」
「うん? なに?」
「その兄とやら、本当に殺せるか?」
思わず息を呑んだ。殺せる、か。殺せるに決まってる。当たり前じゃん。だって私は鬼殺隊で、鬼を殺すのが役目で、煉獄さんと、約束、して。
くく、と神様が喉を鳴らした。意味が分からなくて、今度はこっちが眉を寄せる番だった。
「いやー無理じゃろ。今のお主じゃ殺せん殺せん」
「はあ? そんなこと」
「ある」
断言された。神様の瞳が鋭く光って、ぎしりと身体が動きを止める。
「だってお主……覚悟、できとらんじゃろ」
「っ」
「実ではないにしろ、“兄”を殺す覚悟。その業を背負う覚悟。自分の命を賭してでも頸を落とすという覚悟。その全てが、今のお主には足りん」
静かに、けれど力強く言われた言葉に圧倒される。そんなことない、違う。言い返そうと言葉を舌に乗せても、出てくる言葉は震えていた。
「そんなこと……! 現に私、何度もっ、兄さんの頸斬って……!」
「衝動に身を任せ、考える事を放棄する事を“覚悟を決めた”とは言わん」
ピシャリと言われて、言葉が何も出なかった。反論の余地もない。だってそれが“正論”だったから。脳がそう認識してしまったら、返す言葉なんてあるわけなかった。
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ユズヒ(プロフ) - 莉久さん» たくさんコメントありがとうございます!!嬉しい!!やっとこさ本格的に遊郭編に入りました!宇髄さんと絡ませるの楽しいので、もっと沢山絡ませたい欲が…ぐへへ…。いつもありがとうございます!励みになりますー!! (2022年11月7日 22時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - もう何回のコメントしてすいません!だけど!私の脳がテンションを抑えきれなくてッ!アァァァッッ本格的に遊郭編突入!楽しみでしかない…✨✨文章がっ、溢れ出るこの文才…✨主ちゃんが可愛すぎます…宇隨さんとの絡み最高です!更新頑張ってください! (2022年11月7日 22時) (レス) @page48 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 莉久さん» コメントありがとうございます!!やっと宇髄さん出せました!!これから遊郭編頑張っていきますー!!いいですよね宇髄さん。これからたくさん夢主に絡ませるぞ!嬉しいお言葉を文字数いっぱい…いつもありがとうございます…!これからも宜しくお願いしますー!! (2022年10月26日 2時) (レス) @page42 id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - 久しぶりの更新有難う御座いますッッッ寝る前に読もうとしたらテンション爆上がりなりました!!!⤴主ちゃん遊郭編楽しみだなー!やっぱ宇髄さんのキャラいいわぁ…好きィ(^^ω)毎回話の内容の尊さに悶え 、文才の差を噛み締めております。続き楽しみです!…字数ゥッ (2022年10月26日 0時) (レス) @page42 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 莉久さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉の数々、ベッドの上で転げ回りながら感受致しました!本当にありがとうございます…!マイペースなノロノロ更新ですが、末永くお付き合い頂ければ幸いです〜!! (2022年9月27日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年12月20日 0時