【鬼滅の刃】神様の巫女 拾壱

＊ ページ36

「……あー、で、えー……纏めると、じゃな。無限列車で鬼と交戦した後、お主の兄が現れた、と。しかも鬼として」

「すごい。一から十までちゃんと説明したのに二つの工程でざっくり纏められた。私の説明した時間返せよ」


おかしい。全部説明するのにたっぷり三十分くらいかけたはずなのに、十秒ぐらいに短縮された。
ちゃんと無限列車に乗って煉獄さんに会った話から始めて、夢の話と肉の触手の話と兄さんの話と煉獄さんが戦ってた鬼の話と兄さんの話をしっかり伝えたはずなのに。お前さては読書感想文を「おもしろかったです」の一言で纏めるタイプだな？


「何から手をつければ良いかの……とりあえずじゃな、お主が夢の中で見た儂。それな、儂じゃないから」

「は？」


人差し指を自分のこめかみに当てた神様がさらっと言った言葉にきょとりとした。神様じゃない。そんな馬鹿な。だってあれは確かに神様だったはずだ。私が見間違えるわけない。声も姿も態度も神様そのまま。それなのに自分じゃないとは……ボケているのかこいつは。


「何言ってんの？」

「いや本当本当。マジマジ。儂じゃないからそれ。そもそも儂、人の夢に入るなんて力持っとらんし」

「え……じゃああの神様なんだったの？」

「知らん」

「そんな無責任な」


せめて思い当たる事とかないわけ？ 「知らん」の一言で一蹴されたら私どうしようもなくない？
えぇ〜……と隠す気もなく表情に出す。神様は自分のこめかみを指でとんとんと叩いた。


「まー、予想はつくがの」

「予想？ っていうと？」


首を傾げて聞いてみると、神様は空いた方の手で私を真っ直ぐ指差した。


「お主の夢に出てきた儂が、お主の無意識が形になったものだった、とかの」

「……うん？」


しまった。一気に意味がわからなくなった。ええっと、なんだ。夢に出てきた神様が、私の無意識？ が、形になったもの？ …………駄目だ反芻してもやっぱりわからん。


「あ〜、つまりな？ お主が呑気に夢を見とる最中、お主の無意識が“これは夢”、“攻撃を受けている”と認識する。それをお主自身に自覚させる為に、儂という形をとって、夢に現れた、と」

「はあ……なるほど……？」

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