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真っ直ぐ祷折を見つめるのは煉獄と視線を合わせたくないから。全て見透かすようなあの目を今向けられると、きっと全て話してしまうと思ったAは彼の方を見れなかった。
「君はあいつを、どうするつもりだ?」
「……私が、殺します。私が兄の頸を落とします。なので、これ以上の事はっ、聞かないで、もらえると……」
話して信じてくれるはずもない。自分には前世の記憶があって、目の前のあの男はその時の兄なのだと、言えるわけがない。だから、これ以上の詮索はやめてほしかった。責任を持って祷折の頸を斬る。だから、だから……。
「うむ、分かった。ならばあの鬼は、君に任せる!」
「…………は?」
思わずきょとりとしてしまい、見ないようにしていた煉獄の顔をAは見上げてしまった。だってあまりに簡潔過ぎた。聞いてほしくはないと願ったが、こんなあっさり聞き入れられるとは思ってもいなかった。
「いい、んですか……?」
「ああ。その代わり、あの鬼の頸は君が責任を持って斬れ。できるな?」
「っ、できますっ!」
「いい返事だ」
煉獄を見返してそう宣言し、柄を強く握る。彼の信用に報いるべく、Aはスゥウウウウ、と空気を多く取り込み、地面を強く踏み込んだ。
自分の気に食わない空気を纏い始めた妹に祷折は更に眉根を寄せた、次の瞬間。
離れたところにいた彼女がものすごい速さで自分の目の前に迫ってきて、腹部に衝撃が走った。
“神の呼吸 参ノ型
ドン、と衝撃音と共に祷折の体が吹っ飛んだ。その姿を追いかけ、Aは再度足に力を込めて。地面を蹴るその刹那、A、と炭治郎が名を呼んだのは、果たして聞こえていたのだろうか。
怒りと愛情と嫉妬がぐちゃぐちゃに歪んだその匂いに気づけたのは、炭治郎しかいないというのに。
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ユズヒ(プロフ) - 莉久さん» たくさんコメントありがとうございます!!嬉しい!!やっとこさ本格的に遊郭編に入りました!宇髄さんと絡ませるの楽しいので、もっと沢山絡ませたい欲が…ぐへへ…。いつもありがとうございます!励みになりますー!! (2022年11月7日 22時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - もう何回のコメントしてすいません!だけど!私の脳がテンションを抑えきれなくてッ!アァァァッッ本格的に遊郭編突入!楽しみでしかない…✨✨文章がっ、溢れ出るこの文才…✨主ちゃんが可愛すぎます…宇隨さんとの絡み最高です!更新頑張ってください! (2022年11月7日 22時) (レス) @page48 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 莉久さん» コメントありがとうございます!!やっと宇髄さん出せました!!これから遊郭編頑張っていきますー!!いいですよね宇髄さん。これからたくさん夢主に絡ませるぞ!嬉しいお言葉を文字数いっぱい…いつもありがとうございます…!これからも宜しくお願いしますー!! (2022年10月26日 2時) (レス) @page42 id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - 久しぶりの更新有難う御座いますッッッ寝る前に読もうとしたらテンション爆上がりなりました!!!⤴主ちゃん遊郭編楽しみだなー!やっぱ宇髄さんのキャラいいわぁ…好きィ(^^ω)毎回話の内容の尊さに悶え 、文才の差を噛み締めております。続き楽しみです!…字数ゥッ (2022年10月26日 0時) (レス) @page42 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 莉久さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉の数々、ベッドの上で転げ回りながら感受致しました!本当にありがとうございます…!マイペースなノロノロ更新ですが、末永くお付き合い頂ければ幸いです〜!! (2022年9月27日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年12月20日 0時