【鬼滅の刃】神様の巫女 拾壱

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“神の呼吸 参ノ型・改 嵐舞(らんぶ)”とは、参ノ型 颶風(ぐふう)を改変した型である。
どちらも神の息吹に存在する型で、本来であれば刀を横に振るう颶風(ぐふう)は鎌鼬を、下から掬いあげるようにして振るう嵐舞(らんぶ)は竜巻を起こす型なのだが、下位互換された神の呼吸ではそうもいかない。その証拠に、颶風(ぐふう)は相手の体に峰を当ててそのまま吹っ飛ばす技になっているし、今の嵐舞(らんぶ)だって、下から掬いあげるようにして振るう斬撃に変わっている。
Aが鎌鼬や竜巻は人間技で起こせないと結論づけたのは、随分と前の事だった。

その、型は。祷折に向かって繰り出したその型は、二つの腕と首から額にかけて一筋の線を作りあげた。
飛び散る鮮血。その間を、菖蒲色の視線が交差する。


「A……！」


祷折を斬りつけたのは、殺気を纏い鋭い瞳をしたAだった。一つに結んだ月白の髪が宙を踊り、しゃらんと簪の藤の花が綺麗な音を立てて鳴る。咄嗟に彼女の名を呼んだ炭治郎は、ただその様子を見ることしかできなかった。
瞬時に治った両腕。何事もなかったかのように傷が消えた首と顔。後ろに跳んで距離を空けようとした祷折を、Aはすかさず追いかけた。


「──“神の呼吸 弐ノ型 舞染(まいぞめ)”」


たん、とん。まるで舞うかのような足取りと動きで祷折を追いかけ刀を振るう。刃が通って斬りつけた空間に走る軌跡が、辺りを金色に染めていく。
一見美しく神秘的にも見える技だがその一方で、斬りつけた祷折の腕や腹、顔には大きな切り傷が出来上がっていった。腕なんて斬られた勢いで上空に高く飛び、落ちる前に崩れて消える始末。それだけの威力が、Aが選んだこの型にはあった。


「っ、ほんっとう、余計なことを覚えさせてくれるよね……！」


斬撃を受けながら憎々しげに呟いて、けれどAを愛おしむ感情はそのままに斬られては治してを繰り返す。先ほどから幾度となく繰り返されたその行為は、ここまで来るともはや作業のようでもあった。
辺りに散る赤色、吹っ飛ぶ手足。けれども未だ決定打にはなっていない攻撃に、ぎゅちっとAは強く刀の柄を握り直し更に強く踏み込んで祷折との間合いを詰める。

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