【鬼滅の刃】神様の巫女 拾壱

第101話 お久しぶりですクソ美丈夫 ページ41

一人とぼとぼと、蝶屋敷への道を行く。結局ワッフルを食べるだけ食べて、山でこき使われて鬼狩りまくって、何も解決していないままの今。
秋の冷たい風が頬を撫でて、幾分か柔らかくなった陽射しが降り注ぐ。風に乗って踊る紅葉(もみじ)が綺麗だった。


「……秋だなぁ」


この時代を生きてきて、何度目かの秋。前世の秋といえば、確かにこんな感じではあったけれどここまで空気は澄んでいなかったように思うし、紅葉(もみじ)より新作の秋服とかで季節を感じていた気がする。今思えばなんて風情が無いのだろうか。


「…………ん？」


しばらく歩いていると、目の前から何かが走ってきた。何アレ。目を凝らして見ると、何やら派手な格好をしたデッカい何かがこっちに走ってきているようだった。しかも速い。豆粒みたいな大きさだったのがもう大福みたいな大きさになってる。土煙もたってないし、なんじゃありゃ。見たことあるような、ない、よう、な……。


「うーーーーわ」


認知した途端に吐き気がした。見た事ある。あれはある。そして私の全神経が言っている。アレと関わるな、と。


「あ？」

「っげぇ……」


そんなことを考えていたら、走って来たクソ美丈夫が目の前で立ち止まった。そう、クソ美丈夫。お館様の屋敷で見たあのクソ野郎。最悪である。吐き気がする。


「相変わらず失礼な餓鬼だなお前は」

「話しかけないでもらっていいですか吐き気がする」


クソ美丈夫から視線を逸らして隠しもせずに嫌な顔をする。本当勘弁してほしい。関わってこないでほしい。舌打ちしそうになるのを必死に堪えているんだから、それだけでも感謝してほしいくらいなんだけど。そもそもなんでここにいるのか。今の今まですれ違うどころか視界にすら入る事はなかったのに、何これ。どうなってんのこれ。
とかなんとか思っていたら、ガッと頬を掴まれて強制的にクソ美丈夫の方を向かされた。目の前に広がる整った顔。思いもよらなかったことに脳みそが停止する。

………………は？

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