. ページ33
.
思い浮かぶ笑顔。何の感情も持たなくていいなんて、言わないでくれ。意図的に持たせたのはそちらだ。
私の反応を見て楽しんでいたのならばそれもわざとなんだろう。頭をぐしゃりと掻いた。同じ黒がお揃いの黒を乱雑に掻き乱す。乱されたのは私だ。
私は花を取りに行く。それすらも分かっているのかもしれない。全てが腹立たしい。未だに後悔していることもそれを拭い去れというAも。それならば、怒りを負の感情をどうして出してくれなかったんだ。そうすれば私はこんなにも後悔をしなかっただろう。Aが、呪霊を生み出さないような人物だったから私はこんなにも悩まされた。
丘に来た。二度目だ。二度と来るつもりはなかった。Aがお気に入りの場所だと言ったから踏みにじってはいけないと思ったんだ。
街を見渡せるベンチに花が置いてあった。芝は以前と同じように短く刈り取られている。それなのに誰一人としていない。それが少し不思議だった。
花を手に取る。見たことの無い花だ。そもそも花に造詣が深いわけではないからパンジーやひまわりしか分からない。針山に針が突き立てられているような花だった。
ピンクッションというらしい。花言葉は、『どこでも成功』
今度こそ携帯を握りつぶしてしまいそうだった。忘れても構わないというのならば素直に忘れさせてくれ。
喉元まで何かが来ている。目頭は熱い。視界が滲む。目を閉じると涙が零れてしまいそうで嫌だった。それだけはするまいと思った。
ふと携帯電話に目をやる。
続きがあったようで文章に見入る。これで最後だ。もう全て捨ててしまおう。
p.s.彼処の不味い喫茶店、ウインナコーヒーだけ美味しいんだ。騙されたと思って飲んでみてくれ。
は、どう思えばいいのかわからなかった。ただ笑ってしまおうと思った。
目からは涙が零れ落ちる。笑い声は空気に混じる。空がいつもよりも近かった。手を伸ばしても届くことはないがそれでもいいんだ。
どうせ神は私たちのことなど見ていないのだ。七日で作るからこんな欠陥が生まれる。私は命を懸けて変えるのだ世界を。変わらなくてもいい、変えようと動くことに意味があるんだ。
生き方は決めた。あとは自分にできることを精一杯やるさ。
携帯電話は投げ捨てた。
.
108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏炉(プロフ) - 最後までお付き合い頂きありがとうございました!!私も全力で私好みの作品を作ろうと力を尽くしたのでそう言っていただけると書いてよかったという気持ちになります。閲覧頂きありがとうございました!! (2020年12月30日 17時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
希乃夏(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後まで楽しませていただきました!!終わり方も私の性癖にぶっ刺さりました!!素晴らしい作品を誠にありがとうございます!! (2020年12月30日 14時) (レス) id: 1e5270c5a5 (このIDを非表示/違反報告)
夏炉(プロフ) - お空の蒼い月さん» 閲覧頂きありがとうございます!!対比は私が好きにかけた所なのでそう言って貰えるととても嬉しいです!!もう少しだけ続きますのでぜひお付き合い下さい!! (2020年12月30日 1時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
お空の蒼い月(プロフ) - とても面白かったです…!表現の仕方や移り変わりや対比がすべて美しくて…もうこの作品を読んだあとだと、私の少ない語彙力で素晴らしさを表現できません。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月30日 0時) (レス) id: 94a6e4722e (このIDを非表示/違反報告)
夏炉(プロフ) - 希乃夏さん» コメントありがとうございます!!お褒め頂いて大変嬉しいです!!更新頑張りますのでよろしくお願いします!! (2020年12月20日 19時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏炉 | 作成日時:2020年12月15日 20時