公安警察のお隣さん。【降谷零】

平和を脅かすお隣さん ページ1

決して安い家賃ではないこの家。
だからこそ、そこそこ家具にはこだわっているし、この家が好き。




真っ白な壁。
広々としたリビングには大きな窓が付いていて、めいっぱい日の光が降り注いでいる。
こんな日曜の昼間の時間が好き。




その光に照らされるアガパンサスの花びら。
花を飾るのはすき。いい匂いがするから。



手元のフライパンからはいい匂いがしてて
ぼくおいしいよ！と言わんばかりにお昼御飯のロールキャベツが顔をのぞかせている。


うん！今日も完璧！ぜったいおいしいな。



料理も好き。一人暮らしをするようになって早3年。
こうも毎日のように料理をしていたら、いやでも好きになるってもんだ。



こんな自分の好きがあふれたこの空間に、最近変化があった。



ガチャガチャ・・・バタンッ



あ・・・帰ってきたみたい。
最近引っ越してきたお隣さん。いつもいつも外出と帰宅の音だけが聞こえてくる。
その音は不定期で、今日みたいにお昼間の時もあれば
夜中に出て行ってその数日後の朝方に帰ってくることもある。




これと言って引っ越しの挨拶もなく、そんな音だけ聞こえてくるもんだから
まぁ〜〜気になる！あやしい！なんの仕事してるの？！
ふつう引っ越しの挨拶くらいしないもんかね？？
あーーもう、非常識！




好きが詰まった私の空間に唯一水を差すお隣さんの存在。
これをはっきりさせないと、私の平穏は戻ってこない！
大げさって？大袈裟で結構！
それくらいこの癒しの空間を脅かされるのは私にとって大問題なのだ。




よっし。完成・・・！
タッパーの中にいい子に整列した出来立てほやほやのロールキャベツくんたち。
さぁ。君たちがキーマンだ！




どんな人か知れたらきっと安心できるはず。
正体がまったく分からないから余計に怖く不振に思うんだ！
解決するには知ることから。




その結果に至った私は今
「作りすぎちゃって」
って口実のためのロールキャベツとともにお隣の扉の前に立っている。




よっし！いざ！出陣！！
ぎゅっと気合いを入れてチャイムを鳴らす。


ピーンポーン・・・


え。出ない・・・なんでだ？？
よし、もう一回・・ガチャッ


怠そうに眉をひそめて出てきたのは
外しかけのネクタイに少しボサっとした色黒の金髪男性。


「・・・どちら様で？」


このときの彼は知る由もなかった。
訪ねてきたこの隣人が
仕事ばかりの自分の人生を大きく変えるなんて。





アガパンサスの花言葉・・・出会い/恋の訪れ

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