稀血の少女。【鬼滅の刃】

捨肆 ページ15

善逸side









夜が明けて、探索は一時中断された。

Aに話を聞かない限りなんの手がかりもない...

俺の耳に入ってくる音は
規則正しいAちゃんの呼吸と心音だけ。

以前聞こえた優しい俺の好きな音は聞こえない

今まで聞いた音の中で一番好きな音
鈴みたいに優しくて、癒される...そんな音。









善逸「俺の好きなAちゃんの音聴かせてよ.....」









今は朝8時。
交代制でAちゃんの様子を見る予定だ

まだ目を覚まさないAちゃんは消えちゃいそうなくらい儚くて

一瞬でも目を離したらいなくなってしまいそうな気がする。









『...ん.....』




善逸「!! Aちゃん...？」




『っ、ぜん、いつ.....？』









Aちゃんがゆっくり目を開けた。
その目は虚ろで意識がハッキリしていない様だった

そして、上手く回らない口で俺の名前を呼んだ









善逸「うん！そうだよ、善逸だよ！
待っててね すぐにしのぶさんを呼んでくるから...」









そう立ち上がろうとした時、

羽織の袖がｸｲｯと引っ張られた。









善逸「...ん？」




『まって...善逸.....1人に、しないで.....！』









Aちゃんが羽織の袖を掴んでいた。

うっすら涙を浮かべた不安そうな表情からは
恐怖の音がAちゃんの優しい音をかき消してる









善逸「Aちゃん...うん、大丈夫。一緒にいるよ」









そう言ってAちゃんの手を握る

握った手は小さくて、冷たくて、弱々しかった

後30分程で交代の時間だからそれまで一緒に居よう。









『うん、ありがとう...』









小さく笑ったAちゃん
安心したのか、少しだけ恐怖の音が弱まった

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