元RTA走者と地下彷徨３【Undertale】【クロスオーバー】

色鬼8 ページ35

突然、テレビの電源を切ったように目の前が真っ暗になった。何も聞こえなくなった。自分が、自分でないような世界に放り込まれるこの感覚。

なに、が、何が起こったの？目を潰された？鼓膜を破られた？殺された？
混乱してよく分からなくなる。そうだ、キャラ、キャラは一体どうしてるの。


キャラ…！これっ…。

＊分かってる。恐らく能力だろうな、林の中でやられたのと似たようなものだろう。


恐ろしく冷静なキャラに、自分が混乱してるのが何となくバカバカしいように思えてくる。現実で声を出してないのだろう、響くような声。
つまりSionちゃんの能力でこうなったと言う事だ。それにしても、こんな事が出来るなんて……。

……怖くないのかな。それだけが不思議。


＊あいつ…アメリアの身体(・・・・・・・)にこんな事をして、ただで済むと思うなよっ…！
アメリア、私は何も見えない。だからアメリアが外に出て、私をナビしてくれ。アメリアもこのままでは嫌だろう？

うん。…分かった。


相変わらず私に対して少し過保護なキャラに、そこまで憎む事ないんじゃないかなぁ、と思いながらキャラの言う通りに、私は自分の身体から出る。と言っても、キャラが見えないように私の事を見れる奴は誰一人居ない。私とキャラは今立場が入れ替わってるような物なのだ。

身体に何かされても、ほぼ精神のみで成り立っているような私にはSionちゃんの能力は効いてない。
四足歩行で、警戒するように固まっている自分を見る。実に慣れない光景だ。

Sionちゃんはキャラから出来るだけ距離を取ろうとしてるんだろう、走り続けている。真っ直ぐではなく、右斜に。


キャラ、右斜…45°くらい。歩幅は…15くらいかな。

＊了解。


キャラはSionちゃんに向かって駆け始める。Sionちゃんは驚いたように肩を跳ねらせつつも、曲がりくねって避けようとする。


左に曲がった。先回りで…120°くらい。


キャラは私のナビ通りに進む。Sionちゃんとの距離はどんどんと狭まっていき、Sionちゃんはギリギリで避けている。その度に、私は方向と距離をキャラに教える。
……これで、捕まってくれると嬉しいけど…。

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