Qes,42_透かした夜の向こう側 ページ43
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「少し、待ち給え」
『はい?』
「此処最近の夜は如何かね」
『夜、ですか。……深夜はテオを放って、
私と二人で巡回していますが、特には』
深夜、ヨコハマを巡回する。
日課になってしまった深夜の散歩だ。
森さんが云うように、異変はないと思うのだけど。
「……そう。なら、いいのだけど」
『何か気掛かりでもありましたか?』
「否、いいのだよ。さ、お行き」
『……失礼します』
全く、心当たりが無い。
少し気になるかなあ……。
階下に向かうと織田作さんが待っていた。
「終わったか」
『はい。あ、もうそろそろお昼ですけど何処かで――』
「
『え? あぁ、最近は食べてないですけど、はい』
「いい店がある」
この時、私は織田作さんの云っている咖喱が、
太宰さんに云われていたとても辛い咖喱だという事に
気付いていなかったのだった。
『か、辛いぃ……!』
「辛いか?」
『辛いです!』
これは太宰さんに云われていた溶岩みたいな咖喱!!
辛いというより寧ろ痛い!!
結論から云って、頑張って完食まで漕ぎ着けた。
『御馳走様、です』
「上、行くか」
『はい』
上の階へ行くと、五人の子供達が居た。
嗚呼、まるで莉汰と妃季みたいだなと思いながら。
「織田作、この人が?」
「あぁ、とても優秀なマフィアの優等生だ」
織田作さん、マフィアの優等生とは何ですか。
『四季嶌A、と云います』
「A姉! すげえ……マフィアなのか……!」
「どんな仕事してるの?」
『あ、いや……それは、その……』
「マフィアの首領の補佐だ」
「うおお!」
『織田作さん、そんな……』
彼等は、織田作さんの仕事を分かっているのか。
まあ、でも、彼あってのこの子供達だろうし……。
「トランプして遊ぼう!」
『トランプ? うん、いいよ』
「あ、おい、Aとトランプは――」
私とトランプをする。
誰も勝てる訳がない。
太宰さんが私に触らない限りは誰も。
真剣衰弱、ババ抜き。
色々とやったけれども、全勝利。
「A姉強い!」
「手加減してよー」
『あはは……』
「大人げないぞ、A」
織田作さんが私の頭をコツンと小突く。
こういう日も、たまにはあっても楽しいかもしれない。
トランプをしたり、話したりするうちに陽は暮れて行った。
管理番号:K2513-无-〇二四二
異能力【万華鏡(バンカキョウ)】通称“百目鬼”の使用する千里眼類似異能力。“殺人千里眼”とも呼ばれる非常に危険な異能である。また、継続した長時間使用の副作用として目の痛みや発熱、一時的な視力低下・失明を招く場合がある
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作者名:綺弌 | 作成日時:2019年1月27日 1時