Qes,37_七つの罪が決別する時 ページ38
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「兄妹というのは、誤解だ」
「な、何なのそれ……」
動揺する九十九兄妹。
浅葱の操っていた死体は床に崩れ落ちた。
Aは暦を睨み付け、憎しみの籠った瞳を向けていた。
『私の親はあなたじゃない』
「嗚呼、それは間違いなく事実だ。だが、血縁関係が無い訳ではない」
『何を云って____』
「俺の……妹の娘なんだ。お前は俺の姪なんだ」
Aの瞳が見開かれた。
すると、続く言葉が分かったらしい千足が強く叫んだ。
「親父!! それ以上Aに云うなぁッ!!」
「お前の母親は、お前を捨て、その後にジサツした」
『……そう。そうなんだ。別に、今更そんな話されても。私に親はいない。それで終わり。いいでしょ』
Aは暦の異能による鎖を小刀で引き千切ると、服に付いた埃やら粉塵を払い、シワを伸ばし、更に暦に向かって小刀を向けた。
『心の揺れは隠せない。心臓の鼓動も然り。……異能の隙になる。だから私はこの鎖を壊した』
「四季嶌嬢」
『私の名前を呼ばないで……っ!! 私に、あなたの事は理解出来ない……』
Aが投げた小刀が暦の腕を掠り、暦が少しばかり顔を歪めた。
「……莉汰と妃季を、連れて行ってくれないか」
『何故。今の話なら一応
「千足に連れて行かせるつもりだったんだ」
「ほんとに、行ってもいいの? 御父様」
「あぁ」
暦の所からAと千足の方へと駆ける二人。
輝夜は納得が行かなかったらしく拳銃を構えるも、撃った弾丸は莉汰が作った血液の防壁に飲まれた。
「輝夜御兄様にこの人達は傷付けさせない」
「輝夜にーに、めっ! だよ!!」
「チッ……止めだ止め! こんな糞に付き合ってられるか!」
ダラダラと裏口へと姿を消した輝夜。
霞もいつの間にか姿を消しており、舞台には何か言いたげな浅葱、階段に暦が残るだけだった。
「……あの、さ。千足にぃ」
「何、浅葱」
「俺、にいさんの事も……Aちゃんの事も、憎んでも、嫌いでも、何でもないから。……その、たまに会いに行ってもいい?」
「何だよ、そんなこと? A、いい?」
『好きにすればいいのに』
そう云われた浅葱はにっこり笑うと、その場から駆け足で何処かへ行ってしまった。
「達者でな」
途端に青い炎に巻かれて暦は姿を消した。
管理番号:K2513-无-〇二四二
異能力【万華鏡(バンカキョウ)】通称“百目鬼”の使用する千里眼類似異能力。“殺人千里眼”とも呼ばれる非常に危険な異能である。また、継続した長時間使用の副作用として目の痛みや発熱、一時的な視力低下・失明を招く場合がある
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作者名:綺弌 | 作成日時:2019年1月27日 1時