Qes,32_諸刃の剣 ページ33
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「うーん……彼女がお茶会に来ないのが慣れないな」
「A、大丈夫かしら」
「私の見込んだ部下だもの。それは強く儚く、可憐に敵をばっさばっさと____」
「Aの異能はばっさばっさなんてしないわよ。ふわぁって風が肌を撫でるような感じよ」
「ふむ……慥かにその方が的確な表現だね」
Aが潜入してから約十二時間。
いつものように彼女が参加している茶会にその姿はない。
代わりに千足が居た。
「敵が間抜けで善かったよ」
「あはは、本当ですね」
紅茶に角砂糖を一つ落とす千足。
カラカラと攪拌すると、息を吹き掛けて冷まし始めた。
「して……夜見山君は今回の作戦を如何見るかね」
「……如何、ですか。そうですね。作戦、人選共に戦力的には最適解だ、と云っても過言では無いですが……」
「が?」
「Aの幼さ故の未成熟な精神が耐えられるか。経験、実績は森さんの見立て通りではあります。ですが、異能という強味は弱味でもあるんです」
その解答に森は少し目を細めた。
言葉を噛み砕いて理解するように数度頷くと、足を組み直し、両手指を組んで千足を見やった。
「其処だ。諸刃の剣である彼女を投下した意味だよ」
「意味、ですか?」
「私は未だ君達を疑うのを止めていないよ」
「! ……それはそれは」
「今回の駆け引きで何処まで暴けるか
その瞬間、千足は理解した。
カサルティリオとAを直接的にぶつける事で、自分達に隠されている真相を暴こうとしている、ということなのだと。
「あまりやりすぎるとAが
「
「っ……!」
「急拵えの心理制御では不完全だ。彼女はね、未だ遠くの光を見詰めているのだよ」
森が云いたい事を、千足は理解出来ていた。
確かにこの世界で生き続けるのであれば、太宰のように森が引いた
だが、未だ十三歳の少女の光を奪おうなどと、そう考えるのは一度闇から逃れた千足には出来なかった。
「本当に……俺は、知らないんです」
「……」
「九十九の兄妹は六人。父親は九十九暦。母は兄妹全員違う。それだけしか……」
「本当に、“六人だけ”かい?」
管理番号:K2513-无-〇二四二
異能力【万華鏡(バンカキョウ)】通称“百目鬼”の使用する千里眼類似異能力。“殺人千里眼”とも呼ばれる非常に危険な異能である。また、継続した長時間使用の副作用として目の痛みや発熱、一時的な視力低下・失明を招く場合がある
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作者名：綺弌 | 作成日時：2019年1月27日 1時
