Qes,21_美の欠如による物語 ページ22
(Side,太宰)
「だからね、少しお願いというか提案を聞いて貰いたいんだ」
「私に出来る事なら」
「……Aに暗示を掛けて欲しいんだ」
「また何でンなもんを太宰に」
「まぁ、少し話を聞いてよ。中也君」
千足さんが何故こんな事を提案したのか、それは案外簡単に解るものであった。
つまり、異能に畏怖して充分に動けなかったり、生活出来ないAちゃんに暗示を掛け、安定させるという事だったのだ。
「ピグマリオン効果って知ってる?」
「別名ローゼンタール効果とも云う心理的行動」
「正解。または教師期待効果とも云うこの方法。治君、中也君でもいい。Aに期待してあげて。Aは今ゴーレム効果であの状態が続いているんだ」
期待する事で能力が向上するピグマリオン効果。
期待されない事で能力が低下するゴーレム効果。
これらを相殺し、安定へ導く。
「千足じゃ駄目なのかよ」
「俺はAに
「いにしあ……何だ?」
「イニシアティブだよ。千足さん、それは異能の?」
「あぁそうだよ。別の異能者を主人として捉える事で、精神感応によって意思疎通が図る事が出来る」
嗚呼、これか。
Aちゃんが耳を押さえて俯いていたのはこういう関係と仕組みがあったからなのか。
「成程ね。色々と話が繋がったよ」
「そう?」
「幾つか気になっていた所が聞けたからね」
「ふふっ……。却説と、他に質問ある人!」
何時から質問大会になったのだろう。
でも、この人達の事を知るのは悪くない。
寧ろ、後々役立ちそうだ。
「カサルティリオに何かヤバいのとかねェのか」
「超ざっくりしてるね、中也君。うーん……記憶の限りそんな大層なものはないけど、強いて言えば古典人形義体のコッペリアかな」
「ンだよそれ」
「俺もよくは知らない。ただ、不気味な義体だよ。コッペリアっていうのも兄妹で付けた渾名だし」
コッペリアといえば自動人形として描かれる、そういうバレエ作品があるという。
強ちそのネーミングは間違いではないと思う。
「何だったっけなあ……霞だけが異様にあれを気にしてたな」
「あー、あのロン毛の」
「ハダリーとか呼んでたかな」
「ハダリー……?」
「治君、何か心当たりでも?」
ハダリーなら“未来のイヴ”だ。
自らの“理想”を投影した義体、か。
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管理番号:K2513-无-〇二四二
異能力【万華鏡(バンカキョウ)】通称“百目鬼”の使用する千里眼類似異能力。“殺人千里眼”とも呼ばれる非常に危険な異能である。また、継続した長時間使用の副作用として目の痛みや発熱、一時的な視力低下・失明を招く場合がある
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作者名:綺弌 | 作成日時:2019年1月27日 1時