Qes,20_互いが互いで在るが故 ページ21
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____いたいいたい。しにたくない。そうね、妃季にきこえてくるの。
九十九家末子・九十九
その真骨頂は“死者の蘇生”にある。
但し、寿命や病によるものは蘇生不可であり、第三者によるもので死亡した者のみ蘇生が可能となる。
しかし、蘇生能力発動は死後十分以内、一人につき“三回”までの蘇生が限界値、という条件が更に積み重なる。
また三回以上繰り返すと人格を修復出来ずに自壊する。
「どちらにせよ、乱発は出来ないけどね」
「バケモンだな」
「どの口が云ってるの蛞蝓」
「うるせェ糞鯖」
「ふふっ、仲が良いのは善い事だよ」
クスクスと笑う千足に毒気を抜かれた二人は開きかけていた口を
「紅葉君からも少し聞いていたのだけど、矢っ張り内部からの情報量というのは凄いね」
「必要なら幾らでも垂れ流しますよ。して、森さんは彼等を如何するつもりで?」
「彼女が居る事は嗅ぎ付けていた様で、取引に邪魔が入っている事が確認出来ている。だから勿論だけど、痛い目を見させようじゃないか」
悪そうな顔をした森を一瞥した千足は小さく頷き、淡々とそれに賛同したようにも見えた。
その後、お開きとなり、四人はAの部屋に居た。
気を張り詰めていたAは眠ったままで、千足が自分の膝を枕代わりにして寝かし付けていた。
「千足、でいいのか?」
「好きなように呼んで」
「千足さん」
「さん付けは少しむず痒いね、太宰君」
「私も太宰はむず痒いかな、千足さん」
「! ……なら、治君って呼ぼうか。中也君も」
「おう」
太宰はこの時、考えていた。
千足君とAちゃんは兄妹の可能性は無いのだろうか。
時期的な要因や、よく似た秀麗な容姿、疑うべき点は幾つか挙げられていた。
が、その疑問を口にする事はしなかった。
「治君、君には感謝しているんだ」
「え?」
「君の異能に触れて、Aは自分の異能に対して常に怯える必要が少なくなったからね」
「……うん」
――貴方と居る夜だけは自分の異能が怖くなかったんです。
太宰は彼女がそう云っていた夜を思い出した。
感情の揺れで無意識に異能が発動する事もあったのだろう。
殺すつもりじゃなかった相手を死に追いやったのだろう。
「だからね、少しお願いというか提案を聞いて貰いたいんだ」
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管理番号:K2513-无-〇二四二
異能力【万華鏡(バンカキョウ)】通称“百目鬼”の使用する千里眼類似異能力。“殺人千里眼”とも呼ばれる非常に危険な異能である。また、継続した長時間使用の副作用として目の痛みや発熱、一時的な視力低下・失明を招く場合がある
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作者名:綺弌 | 作成日時:2019年1月27日 1時