Qes,17_刃の香り ページ18
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ふわりと揺れる亜麻色の長髪。
端正な顔立ちに映える深紅の瞳。
すらりとした手足に、太宰をも越える高身長。
「どうも。久し振りに此処に顔を出したのでは? 千足」
カサルティリオ最高幹部・
「霞……」
給仕に紛れていた千足に迷わず近付き、肩を組むように凭れ掛かった霞という青年。
最初はにこやかだったが直ぐに表情は冷えた。
「で、獣畜生風情の貴様が何故此処に居る。まあ……粗方検討は付くがな。悪趣味な猫め」
「Aから手を引いて」
「あれは始末せねばならない」
「如何して。あの人だって直接は云って無いだろう」
「マフィアに戻った以上、ただの異物だ」
その時、タタタッと霞に駆け寄って来た少年が居た。
月白色の髪に金色の瞳を持ったその子は、霞の服の裾を引いて云った。
「御兄様、止めて……!」
「莉汰……。これはお前の兄ではない。畜生だよ」
「いいえ、千足御兄様だよ。勿論、彼女も____」
「莉汰。聞き分けが悪いとは感心しないな」
「っ……! ご、御免、なさい」
「霞、止せ。莉汰は未だ子供なんだよ」
千足が止めると、霞は舌打ちをしてその手を下ろした。
莉汰はホッとして腕の中で眠る赤子を抱え直した。
「妃季は相変わらず?」
「うん、千足御兄様」
「……」
その時、千足の頭の中にAの声が響いた。
「後ろ!!」と叫ぶ声だった。
途端に千足の背中には鋭い痛みが走り、ジワジワと生温かい感覚が広がり始めた。
「はっ……ノコノコ帰って来やがって、莫迦かよ」
「か、ぐや……」
「はぁ……だからお前は嫌なんだ。輝夜。野蛮過ぎる」
「うっせぇ黙っとけよ
千足の視界には不敵に笑う輝夜。
呆れる霞。
あわあわと慌てる莉汰。
いつの間にか目を覚まして此方を見ている妃季。
遠くに驚いた顔で佇むAが見えていた。
『千足さん!!』
「えっ」
「A知り合いかよ」
「おや、居るじゃないか」
「ミゼン……テメェ今度こそ!!」
輝夜がAに飛び掛かろうとした時、目の前に立ちはだかったのは九十九暦であった。
「息子達が騒がしくして済まない。……おい、千足____」
カサルティリオ首領・九十九
管理番号:K2513-无-〇二四二
異能力【万華鏡(バンカキョウ)】通称“百目鬼”の使用する千里眼類似異能力。“殺人千里眼”とも呼ばれる非常に危険な異能である。また、継続した長時間使用の副作用として目の痛みや発熱、一時的な視力低下・失明を招く場合がある
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作者名:綺弌 | 作成日時:2019年1月27日 1時