Qes,16_死に抗う炯眼 ページ17
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真逆、旧九十九財閥主催の招宴に向かうとは全く考えてもいなかった。
会場到着前に衣装を揃える為に店に寄り、白とグレーのドレスを太宰さんに押し付けられた。
『これ、本当に似合ってますか』
「君は大人っぽいからそういうの似合うよ?」
『動きやすいのを選んでくれた事は感謝します』
「おぉ……結構やる気じゃないか」
生半可な心持ちで対峙したら簡単に殺される。
というか、顔が割れている私が行ってもいいのだろうか。
否、恐らく彼処の招宴は仮面招宴が常だ。身元が割れないようになっている筈だけど。
「ところで……テオ君は?」
『現場も近かったので先に向かわせました』
「猫……招宴会場に入れるかな」
『入れますよ。
テオには先に会場に入って貰うようにお願いした。
今頃、
それから数分。
会場に到着し、目隠しを外して仮面を着けると、太宰さんが私に手を差し伸べて来た。
『え?』
「手。その目が怖いのだろう? 私が触れていれば異能は発動しないよ」
『そうですね。お願い、します』
「お願いされました!」
受付で太宰さんが手続きを済ませ、会場に入ると大勢の招待客が既に集まっていた。
少し辺りを見回せば、其処には千足さんが居た。
彼は私に気が付くとウィンクをして来た。
うんうん、判ったからバレない様にして下さい。
その時、太宰さんに腕を引かれて肩が触れ合った。
「Aちゃんはああいうのが好みなのかい?」
『ひぇっ……』
「ふふっ、普段視覚を閉ざしている分、聴覚が敏感だね。いい事を知れたよ。ふうぅ〜」
『ちょ、本当に、止めて下さっ……』
その時、逆の肩をグイッと引かれる感覚がして、ふと振り向くと中原さんが居た。
「莫迦野郎。何やッてやがる」
「Aちゃん弄り」
『な、中原さん助けて下さい……!』
「あーあー、分かったから静かにしろ。目立つぞ」
大勢の人の中に居るのが幸いして、特に奇異な目で見られる事は避けられたが、カサルティリオの面々は……。
「此処から探せるかい?」
『社長は一番奥の所に居ますよ。横にカスミとカグヤ。階段の辺りにアサギ、リタとキサキが居ます』
「意外にデカいな」
「私よりも大きいねぇ」
その時、キサキの目が開いたのだった。
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管理番号:K2513-无-〇二四二
異能力【万華鏡(バンカキョウ)】通称“百目鬼”の使用する千里眼類似異能力。“殺人千里眼”とも呼ばれる非常に危険な異能である。また、継続した長時間使用の副作用として目の痛みや発熱、一時的な視力低下・失明を招く場合がある
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作者名:綺弌 | 作成日時:2019年1月27日 1時