Qes,13_新手の追手 ページ14
(Side,太宰)
「何して……」
『太宰さん静かにして』
「……」
窓の外が如何なっているのかは此処からじゃ見えない。
彼女は照準器の付けられていない狙撃銃を構えると、いつもは外す事を躊躇する目隠しを取り外して異能を発動させると彼女の右目に光る文字列が展開された。
外の何かの様子を伺うAちゃん____。
『……まずいのが嗅ぎ回ってます』
「まずいのって?」
『カサルティリオ準幹部のリタです。キサキまで連れてるなんて……如何いうつもり……』
リタとキサキという知らない名前。
この前、首領から聞いた注意人物にはいなかった。Aちゃんがそんなに警戒する相手なら、聞かされていてもおかしくないのだと思うのだけど。
「首領の云ってた人と違うよね、それ」
『リタはカサルティリオの
「準幹部は判ったけど、赤ちゃんが何かまずいの?」
『あれが一番まずいです。無意識に異能を使いますからね』
そっと彼女に近付いて窓の外を眺めると、其処には慥かに赤子を抱っこして闊歩する少年がいた。
でも、恐らくAちゃんよりも年下だ。
「子供じゃないか」
『……直接対峙した事はありませんが、カサルティリオの異能者は脅威の塊ですから』
「あれ、此方に気付いちゃいないよ。窓閉めよう」
『……分かりました』
相手が気付いていないのなら、気付いていない内に隠れてしまった方がいい。
未だ此方には相手の情報が少ないのだから、今相手にしたとしても如何なるかが読めない。
「ねぇ、少し気晴らしに散歩でもしないかい?」
『でも、
「ふふっ、首領に頼んで幹部権限でも解除出来るようにしてもらったから安心し給え!」
『如何して……』
「理由と云う理由は特に無いね」
『……そうですか』
足枷の繋げられた所に解除パスを打ち込むと、小さな電子音がして鍵が外れた。
彼女の足首から枷を取り外すと、擦れて赤くなっていた。
「痛いんじゃないの、これ」
『痛くないです』
「じゃあ、これは?」
痛そうな場所を狙って少し押して彼女の顔色を窺うと、矢張り痛そうに顔を顰めた。
『っぐ……太宰さん最悪っ』
「包帯ってある? 私が巻いてあげるよ」
『其処の戸棚に』
この後、真逆包帯の巻き方を誉められるとは思わなかった。
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管理番号:K2513-无-〇二四二
異能力【万華鏡(バンカキョウ)】通称“百目鬼”の使用する千里眼類似異能力。“殺人千里眼”とも呼ばれる非常に危険な異能である。また、継続した長時間使用の副作用として目の痛みや発熱、一時的な視力低下・失明を招く場合がある
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作者名:綺弌 | 作成日時:2019年1月27日 1時