観覧車から見下ろして。Q.【文豪ストレイドッグス】 (ページ12)

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Qes,11_固結びの因縁ページ12

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首領室で対峙する、森と黒髪の青年。
青と金の双眸が森を捉えていた。

「君は、夜見山君はカサルティリオの関係者だね?」

「何時からそれを御存知で?」

「最初から少し気に掛けていてね。つい先日、決定打となる情報が洗い出せたのだよ」

「そうでしたか」

ケロッとして小さい笑みを漏らし、そう答える千足。耳に掛けられていた黒髪がサラリと溢れ、左耳で煌めく耳飾りの硝子細工が揺れた。

「九十九(つくも)家三男であり、カサルティリオ元幹部。一体、何時この肩書きを捨てて此処に?」

「……八歳の頃になります。その時からAに付いて回るようになりました」

「彼女と君の関係には謎が多いねぇ」

「秘密は……慥かにあります。ですが、これを、Aの耳に入れる訳には如何しても行かないんです」

千足の言葉に森は目を瞑って頷くと、「なら、未だ聞かないでおくよ」と云った。

そして、机に五人の人物の写真を広げて見せた。

「これ……」

「見覚えがあるだろう。カサルティリオの人間だよ。彼等について情報を集めるのは至難の技でね。内部に居た事のある君なら、と思ったのだよ」

「俺が答えられる範囲であれば」

小一時間ほど森と話を続けた千足。
首領室から出る時には黒猫の姿となっていて、階には丁度Aが昇降機で迎えに来ていた。

「みゃあー」

『お帰りなさい、テオ』

テオを抱き上げたAは階下に向かい、自室に入ってから彼を下ろした。

『……森さんに情報渡したんだ?』

「みゃうぅ」

『どちらにせよ、相手をせざるを得ないんだよね』

執務室の机の上に置かれた小さな硝子箱。
その中には皹(ひび)割れて砕けた硝子細工が仕舞われていた。

その夜。
都内の高層企業ビル最上階では、物々しい雰囲気が漂う会議が開かれていた。

「で、何? 輝夜にぃは“ミゼン”逃しちゃったの?」

カサルティリオ幹部・遠野浅葱
能力名――【死霊綺想曲(ネクロマンシー・カプリース)】

「五月蝿い。邪魔が入っただけだ」

カサルティリオ幹部・鷹月輝夜
能力名――【竹取物語】

「あ、あの、でも、もう一ヶ月以上も消息不明だし、そろそろ追い掛けなくてもいいんじゃない?」

カサルティリオ準幹部・五栖鹿莉汰(いすかりた)
能力名――【人不非(ヒトニアラズ)】

映像機にはAと千足が映し出されていた。