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君の話. ページ1

パタン...静かに本を閉じる音が響いた。

本の少し色褪せた紙が,窓から漏れる茜色の光で更に色褪せて見えた。
外ではサーッと波の引く音が聞こえる。

光「もう...5時か」

たまにしか掛けない眼鏡をカシャンと外せば,机にぽつんと置き窓を開けた。

涼し気な風が入ってくると同時にムワッとした熱気も入る。
独特な潮の香りが広がる。

光「...あの日とそっくり。」

匂いが,色が,空気が,空が...

あの頃と似ていた。

君の香り,笑顔,表情が蘇る。

少し前の話なのか,かなり前の話なのかも忘れてしまった。
それでも俺は最近の記憶のように思えたんだ。

今君は幸せですか?

ちゃんと笑えていますか?

あの時みたいに泣いていませんか?

少し泣き虫な君をちょッとでも自由にできたあの日。初めて恋をしたあの日。

とても幸せでした。

ふぅと息を吐けば,その少しムシムシとした暑さの中外に出る。
軽いサンダルをはけば,暑い砂の上に足を乗せる。

スポンジの様に吸い込む砂は歩きずらく,結構苦手だ。

でとそれを乗り越えると,キラキラと茜色に輝く美しい海に出会える。

光「いつ見ても綺麗だなぁ...あそこに住んで正解だな」

今は海に近い少し小さめの小屋で一人で暮らしている。

小さいといっても人が二人生活できるようなスペースを一人で使わせてもらっているので贅沢なものだ。

足だけ濡れるくらいの所に腰をおろせば,その輝きをぼ〜ッと見つめながらあの時のことを思い出す。

あぁ,あの時もこんなに光り輝いた海を2人で見たっけな。

足を濡らして,笑顔で走る君を俺は汚れるぞッて怒りながら。

君との出会いはどんなんだッたかな。

あの日を,あの時を忘れない為に俺は時々思い出して記憶に浸る。

さて...話そうか。





あの日の話を。

出会いの話→



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ミミズク(プロフ) - nekoさん» わ~!有難うございます!!そう言ってもらえるのが一番嬉しいです!!これからも更新頑張ります^^* (2017年8月11日 9時) (レス) id: 40817227f9 (このIDを非表示/違反報告)
neko - この作品、好きですーー! (2017年8月9日 11時) (レス) id: 2adefd97cb (このIDを非表示/違反報告)
neko - 更新頑張ってください! (2017年8月9日 11時) (レス) id: 2adefd97cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミミズク | 作成日時:2017年7月28日 21時

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