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その29 ページ30
雫華side
私は耐えきれずに承一郎君に平手打ちをした。
雫葉のことは心配…だけど…承一郎君が一人で悩んでいるのを見ると、胸の辺りがキュッと締め付けられる感覚があった。
今まで誰かを傷つけるようなことはしたこと無かったから…彼を傷つけた子の右手がじんじん熱くて、我慢できなくなって私は走り出した。
「雫華！？」
『はぁっ、はぁっ、はぁっ…。』
どこか…遠くへ!
私はコンテナの影で『いつものように』一人で泣いていた。声を殺して、誰にも気付かれないように。
スカートのポケットから携帯を出した。
携帯についているのは、雫葉と2人で作って交換した、思い出のあるストラップ。
水色のビーズと青いチャーム。太陽の光を通して、宝石のように光って見える。
『雫葉…。』
『どうか…無事でいて…。』
今の私はそう祈るしかなかった。
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作者名：おバカな傀夢&歌詞無 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時：2018年3月29日 12時
