10 ページ10
レオが幹部になって、半年が過ぎた頃。
突然、…そう。それは誰にも気付かれる事無く、
俺達に、この軍に、この国に、…忍び寄っていたんだ。
.
今日もいつも通りに訓練を受けて、
いつも通りに飯を食べて。
いつも通りに部屋に帰った。
ぐいーっと伸びをして、ちょっとした書類をささっと片付けでやるために椅子に座りペンをとる。
俺、書類は苦手なんだよなぁ。どう書きゃ良いのかわからんし。
こんな時彼奴がいれば、と机にある写真立てを見る。
＿＿＿レオは、幹部になってから毎日忙しそうだった。
幹部さん達の内ゲバに巻き込まれたりとか、
他にもトントンさんの手伝いか書類整理をしてて。
それでも、彼奴は彼奴で楽しそうに過ごしていたんだ。
圧倒的にレオと遊ぶ日は減っていたけど。
話せる時に会えば、多くの土産話を聞かせてくれた。
トントンさんが徹夜しまくって倒れた話とか。
鬱さんが書類整理と情報管理を少しガバって、
ロボロさんがカバー滅茶苦茶頑張って怒ってた話とか、
ゾムさんに神出鬼没で巧妙な悪戯をされた話とか、
自分と共に被害を受けるコネシマさん、シャオロンさんの話とか、
総統様やオスマンさん、ひとらんらんさんとお茶会をした話とか。
ショッピさんと模擬戦をしたら五分五分だった話とか。
チーノさんに嘘をつかれてめんつゆを飲まされた話とか。
エーミールさんに戦術や爆弾の事を教わった話とか。
アルバがしんぺい神さんに肩を抱かれて死んだ顔をしていた話とか。
最後の話は滅茶苦茶面白くてツボに入った。
しんぺい神さんは男好きだと自分でも言っているから、
まさかアルバも襲えちゃう候補に入っているとは。
二人で笑い合えるその空間は無くなってはいなかった。
＿＿＿だから、
ぐじゅり。
そんな生々しい音が聞こえると共に、背中に走る激痛。
＿＿＿ずっとこのまま笑っていられるモンなんだと、思ってたんだ。
思わず椅子から転げ落ちて、何があったのかと振り向き、後悔した。
＿＿＿軍人になったからには、そんな事、ある訳が無いのに。
「な、んでッ！お前が…！！」
嘘だと思いたいけど、その手に握られたナイフは俺の血で濡れていた。
＿＿＿平和なんて、有り得ないのに。
「レオ…ッ！！」
「…ごめんねぇ、A」
何で。お前が、こんな事を。なんで。
「…おやすみぃ」
「なんで」
振り下ろされるナイフを最後に、
俺の視界は真っ暗になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれいん(プロフ) - 構えていなかった為、まさかWrの国の方達がそうなると思っておらず、最初の2人でまじか…まじか……となり、続編に行く前にはティッシュを片手に持っていました。ありがとうございました！ (2020年11月1日 14時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
仰げば尊死 - 今後にきたいしてます (2020年6月1日 22時) (レス) id: d6069bd4ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ショイ太郎 | 作成日時：2020年5月20日 9時
