元エイリアの実験体は世界に羽ばたきます (ページ35)

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33.vsビックウェイブズⅤ ページ35

久遠｢後半の指示を伝える

吹雪!お前は中盤の底に下がって相手の攻撃の芽をつめ｣

吹雪｢はい｣

久遠｢虎丸はそのまま鬼道のポジションに入れ。

前にボールをつなげろ｣

虎｢そんな大事なポジション、俺でいいんですか？｣

久遠｢お前がやるんだ｣

虎｢はいっ｣

綱海｢まっ、気楽にやれって！後ろには俺達がついてっからよ！｣

『それに僕も全力でカバーするから』

虎｢あ、ありがとうございますっ！｣

久遠｢それから綱海！｣

虎丸にグーサインを出していた綱海が｢いっ！｣と悲鳴を上げつつ驚く。

綱海｢まさか、俺も交代…？｣

声が震えている。

おいおい、大丈夫かよ？

久遠｢綱海。お前は俺の指示に逆らい、外に出て必殺技の特訓をしていたな｣

監督に指摘されて青ざめる綱海と、それを嗤う木暮。

あんまり見ない組み合わせだ。

っていうか、アイツ外に行ったのか。
綱海らしいというかバカというか……ゲフン。

綱海｢バレてた？｣

綱海は監督を完全になめてたな。

そのツケが回ってきたってわけだ。

久遠｢それと、光野!｣

『ふえあっ!?』

我ながらなんだこの返事は。

ふえあって……

久遠｢お前はただゴールを狙え。

シュートチャンスは全て利用するんだ｣

『………はい』

風｢監督!!
Aは1度シュートしているんです！
マークされるに決まってるじゃないですか！

なのになんで!!｣

『いいよ一郎太、僕がもう1点決める』

風｢……Aがいうなら…｣

一郎太が納得してくれた。

説得した僕が言うのもなんだが、僕は確実にマークされる。

僕は、おとりだ。

『ほら、一郎太、試合始まるよ』

まだ不服そうな顔をしていた一郎太に声をかける。

風｢嗚呼、そうだな。
………行こう｣

覚悟しろ、ビックウェイブズ。

＿＿＿＿これが、僕の演じる｢おとり｣だ。