元エイリアの実験体は世界に羽ばたきます (ページ17)

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15.その笑みはページ17

次の日。

今日もまた、サッカーの練習が始まった。

円｢よーし、繋いでいくぞー！｣

ボールが円堂から鬼道に渡る。

鬼道はそのボールを即座に風丸にパス。

風丸はドリブルで上がっていく。

その風景に、なんとなく苛付きを覚えた。

円｢いいぞ、二人共！｣

この言葉で、僕は完全に苛ついた。

どうしてこうも真剣じゃないんだよ？

チッ、という舌打ちがしたので見てみると、不動も同じように苛ついているのがわかった。

だったら、僕たちがその真剣さを教えてやろうじゃないか。

『おい、不動！』

不動｢…わーったよ｣

瞬時に僕のしたい事を察してくれたようだ。

こういう面は鋭い方がいい。

不動と二人がかりで風丸に後ろからスライディングする。

もちろん、後ろからにしたのはわざとだ。

だって世界のラフプレーと比べればこんなの子供のお遊びだろう？

鬼道｢不動、光野！今のはわざと後ろから…｣

久遠｢いいぞ、不動、光野！

ナイスチャージだ。｣

鬼道の説教口調の言葉に監督の言葉が重なる。

その監督の言葉を聞いて、自然と頬が緩むのを感じた。

褒められるだなんて、早々あることじゃない。

僕にとってはね。

でも、今僕が浮かべている笑顔はニコニコとかそういう類のものではないだろう。

きっと、どちらかといえばニヤリとかの方が近いはずだ。

嬉しいのは褒められたって事だけだから。

もっと真面目にやれよ。

世界のレベルを全く理解していない。

きっと、基山とかのシュートならがっちりと止められてしまうはずだ。

日本はサッカーにそこまで力を入れてないから。

風｢くっ……｣

そうは言っても、まだ痛そうにしている風丸には柄にもなく良心が疼いた。

二人がかりのスライディングを諸に受けたからな…

風丸にしたらかなり痛いのだろう。

僕にとっちゃあんなの擦り傷みたいなものだけどね。

まあ、それもしょうがない。