ふぃふてぃー！ ページ6
………………
配信を終えてかれこれ30分は経っただろうか
ベッドに寝っ転がりスマホを開いて同じ画面で指が止まっていた
ゆうたくんからの歌ってみた動画の感想が送られてきて嬉しかった
そこまでは良かった…そう、そこまでは
その次に続いた文章にどう返せばいのか迷っていた
ゆうた来月のどこかで会えない?少しなら時間作れそうなんだけど
なんとも嬉しい誘い
それでも渋ってしまうのはきっと彼が人気YouTuberだからだろう
にこさんはあぁやって言ってたけどすぐに｢はいそうですね｣と納得出来る訳では無い
もしOKして2人で会ったとしてファンの子に見られたら？
何かに取り上げられたら？
夢に向かってひたむきに頑張っている彼の邪魔にしかならない…
それでも、会いたいという気持ちは消せないわけで
少しだけなら…
"私も会いたいです"
そんな文を何度も打ち込んでは消してを繰り返していた
〜〜〜〜♪♪♪
『ｯ！？！…って！あああああ！？！』
いきなりスマホがバイブしてその拍子に送信ボタンを押してしまった
トーク画面には何度見てもその文が書かれている
『…最っ悪だ』
いつまでも鳴り続けるスマホの着信ボタンをスクロールしてヤケになりながら耳に当てた
«｢おっ、やっと出た〜｣»
『なんの用？』
«｢もしかして機嫌悪い感じ？｣»
『誰かさんのせいでね』
«｢え〜なんか分かんないけどごめんて。それよりあんたの動画見たよー｣»
『絶対謝る気ないでしょ。ありがとう』
«｢さすがAって感じ！好きな人でもできたの？｣»
『ｯ?!はぁ？！』
«｢あんたわかり易すぎだって｣»
スマホの奥からｹﾗｹﾗと笑う声を微かに聞きながら心を落ち着かせる
『なんでそう思ったの』
«｢え〜だってあれ恋愛ソングじゃん。めっちゃ心籠ってたから｣»
『そりゃ歌ってみたなんだから心は込めるでしょ』
なんかそれとは違うんだって！
と何とか言ってくる友達に仕方なく今抱えてる悩みを全部ぶちまけてやった
«｢うわぁ、そんなの遠慮する必要ないでしょ｣»
心底呆れたように言う彼女に少しｲﾗｯとしつつも言葉の続きを待つ
«｢あんたに文句言ってくんのは嫉妬してるだけなんだから。そうやって言うならあんたらもYouTubeやらツイキャスやら何でもして近づけばいいだろって言ってやりな｣»
あぁ、私はなんて素敵な友達を持ったのだろうか
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作者名：かるーあ x他1人 | 作成日時：2022年1月3日 20時
