Kahlua and Milk (ページ8)

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☀︎もしページ8

バーで何人の男がため息をついてきたのか知らないけど、今俺がそのx分の1になるとは思ってもなかった。

JH「珍しいじゃん1人なんて」

HC「ヒョン、俺がそこら辺の女の子すぐひっかける通り魔だと思ってるでしょ」

JH「あながち間違ってないでしょ」

HC「大間違いですけど」

いつも上っ面に笑顔を貼り付けてるこのヒョンの方こそ、女の子に色目つけられてることを俺は知ってる。

ヒョンの場合は、向こう側からくるらしいけど。
来るもの拒まず去るもの追わずのバーテンダーがモテない方がおかしいか。

色んな意味を込めてもう一回ため息をつく。

それをしたところで、その思いがどこかに飛んでいくわけでもないのにそうしてしまう人の心理らしい。

JH「7」

HC「え？」

JH「今日のヘチャンのため息カウント」

HC「趣味わる」

JH「色男が勿体無いでしょ」
なんでそんなため息ついてんの？

HC「色男に言われてもねー」

JH「おぉ、どうも」

タイミングよくドアチャイムが鳴ってお客さんが入ってきた。

触らぬ神に祟りなしとでも言うようにそっちの接客に入る。

だってもし、俺がここでまた女連れてたらあの子がいつ見てるかわかんないじゃん。

ヒョンがつくるカクテルをなんの情もなしに見つめる。

JH「目死んでるよ」

HC「今日それ系のコメント受け入れないことにしたから」

JH「へー、、何があったのかくらいは教えてくれない？」

HC「んー、」

そこら辺にあったコルクをくるくる弄りながら、何かを考えるふりをする。

大抵、こういうのは何も考えていない人間の仕草だ。
考えているふり。そう見えるふり。

俺はたぶんここで、「言うか言わないか」の選択肢はなくて「いつ言うか」を迫られている。

弄っていたコルクの端っこが欠けて、指の動きを止めた。

HC「ヒョン、もし俺がさ」

JH「うん？」

HC「一目惚れしたって言ったらどうする？」

JH「､､､すごい面白い」

HC「しかもさ、相手が俺がここでしてることを知ってるってなったら？」

JH「、あのお客さんが出てったらお店閉めるわ。俺もお酒飲みたくなってきた」

真の色男が優しく微笑む。

今夜は時間がかかりそうだ。