Kahlua and Milk (ページ7)

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♦︎鏡よ鏡ページ7

最悪、だった。

酒が弱いだけで、酒を飲んだら記憶を忘れる都合のいい体質を持ち合わせていない。

全部。

全部覚えてた。

私が昨日、彼にしたこと。

そのまま寝て、メイクが落ちてるところを見るとたぶん彼がやってくれたんだと思う。

すっぴん見られた、とかそういうショックが頭にないほど、昨日の自分の行動に後悔していた。

服はそのままで、手を出したと思われたくなかったんだろう。

だって、あんなこと言ったんだもの､､､

ほんとにバカ。

《ごめんなさい、》

相手のいない謝罪。

誰もいない部屋で1人、そう呟いていた。

朝の7時半、ベッドの上でボーッとできる時間ではない。

急いでシャワーを浴びて用意をする。

ブラウスとスカートを纏い、なんとかヘアメイクを済ませて、家を出る。

玄関でパンプスを履いて、シューズインクローゼットの扉についてる鏡の中の自分と目があった。

急いだせいで少しだらしなくなった格好を直して、深呼吸する。

お願いします。
昨日のことは、何もなかったって。そうなってくれ。
もう彼には会わないだろうから。

もう一回、深呼吸をして駆け足でマンションを出た。

___________

なんとか間に合って、ため息をつきながらデスクに座る。

もう何も考えたくなくて、デスクに突っ伏してると、頭上後方から「パクさん」と上司の声がかかってきた。

《はっ、はい！》

「あごめん、お疲れ気味、？だった」

《や、大丈夫です､､､ちょっと考え事してて》

「あ、そう？あ、で仕事のことなんだけど」

《はい､､､》

え、なんかやらかしたっけ、？

ちょっと背中に冷や汗をかく。

「パクさん、すごく仕事やってくれてるしアシスタントした人からも好評で。それで一個大きいの任せようかなって思って。」

《え、ホントですか？！》

「うん。あともう1人先輩と共同なんだけど、アシスタントじゃなくって、本格的に。」

《はい､､､》

「昔からウチとタッグ組んでる飲食業界の会社がカフェを新装オープンするんだって。それを任せようと思っててもう少し先なんだけど、今からでもできる準備はしててね」

《わかりました。ありがとうございます！》

ゲンキンな私は仕事でいっぱいで、疲れて家に着いた頃にはもう朝のことはあんまり覚えてなかった。