☀︎初めて ページ6
HC「スアちゃん、着いたよ」
《ん゛〜、》
はぁ、まじかよ。
しょうがないから、運転手にお札を雑に渡して彼女の体を抱えて出る。
かる、
お酒ばっか飲んでるからだよ。
ふわふわとした足取りで動くから、ムスクが強く匂って胸焼けしそうになる。
エントランスの奥に進んで、顔認証のドアを通過しAちゃんに教えてもらった部屋番号まで運ぶ。
HC「スアちゃん、着いたけど？」
《、どうも》
HC「鍵は？」
「ポッケ、、」
そう言ってゴソゴソとタイトスカートのポケットをさぐり始める。
チャリ、という金属の音は聞こえるけど酔った手は思うように動かないようでなかなか取れないらしい。
《ん､､ちょっとまって》
そう言って正面から肩を掴まれる。
首元からふわっと匂いがして、思わず息を殺す。
《あったぁ、》
そう言って子どもみたいに自慢げにゆらゆらと鍵をアピールしてくる。
HC「おし、ドア開けて」
《うん、》
言うことをきかない手は綺麗に鍵穴に入らなくて。
上から手を重ねてさしてあげた。
ありがと〜、と声なのかもわからないような小さな声でされるがままになっている。
HC「はい、お水。飲んで」
《やだ、、飲みたくない》
HC「ほら、」
寝そべった体を起こして、無理やりコップを押しつける。
んん、と嫌そうにしながらも水を飲んだ彼女の口から水滴が垂れる。
無意識で、手でソレを拭うとその手をバッと掴んで引き寄せてきた。
その勢いで、覆い被さるようにソファに手をついてしまう。
こうなると思ってなくて、頭は混乱するしかない。
HC「は、？」
《Aに、手出すなって言われたでしょ》
HC「、手出そうとしてないんだけど」
《､､バーで女の子ひっかけてたくせに、》
周りの音が聞こえなくなって、ジーーと分からない音が耳と耳の間を通過していく。
何で、知ってんの？
スイッチが切れたようにスアちゃんは寝てしまった。
ソファから降り、床に座り込んでため息をつく。
一目惚れして、その彼女にこんな風にされて。
目の前でグースカ寝てる顔が、また綺麗だから文句言いようにも言えなかった。
ベッドに彼女を運んで、家を出る。
人生で初めて、一目惚れをした日。
人生で初めて、手をつけずに女の子の家から出た日。
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きぬど(プロフ) - yoroseさん» ありがとうございます！遅筆ですがよろしくです☺️ (10月17日 18時) (
レス) id: 64123585f5 (このIDを非表示/違反報告)
yorose(プロフ) - スピンオフ待ってました！！ (10月16日 13時) (レス) @page1 id: ea5756c655 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きぬど
| 作成日時：2023年10月15日 17時
