Kahlua and Milk (ページ5)

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♦︎夢なら夢でページ5

気づけば、泥酔してタクシーに乗っていた。

静かに進むボックスタイプのこの車に重たく体がのせられている。

レースのシートに体を預けて、ぼやける視界で、目の前で流れる車内CMを止めた。

《A、今日もごめんね〜、》

HC「今日はAちゃんじゃないよ」

寝起きだから、よくわかんない。

夢の中なのかな、アルコールが聞こえる。

夢なら夢でいい。

夢のはずなのに。

なぜか鮮明に、わたしの中にタクシーの匂いが入ってくるのだけれど。

運転手がタバコの匂いを誤魔化すためのあのキツい匂い。

酔った体にその匂いは容赦なく入って、胸あたりを気持ち悪くて侵食していく。

夢でも嗅覚は冴えるのかな？

はぁ、しんどい。

窓の外を見るのも嫌になって、ん〜、と言いながら寝返りをうつように反対側を見た。

そこには、あいつくんがいるんだ。

《はぁ､､､あいつくんじゃん、》

HC「なに、あいつくんって」
てかしんどい？

《なんでいるの〜》
しんどくない〜

HC「Aちゃんに託されたから。もうすぐ着くよ」
嘘つけ、顔色悪い

《あー、勝手に家教えちゃって、》
やだ、触んないで

ぼやける視界に、私をなんとかしようと近づいてくるあいつくんを最後に、私のタクシーでの記憶は途絶えた。