♦好きなの？ ページ18
亀どころかうさぎみたいに急いでいる、つもり。息を切らしてエントランスの窓ガラスの前でボサついた前髪を整える。このまま部屋に入っていったら「走ってきたんだ？」ってニヤニヤしながら前髪に触れられるのがオチ。どこからのプライドなのかそれはイヤ、と思っている自分を乗せながらすぐに上昇していくエレベーター。
イヤというよりかダメ､､､
うん、ダメ、。
たった24分の6しか上がっていないのに、エレベーターとともに心拍数も上昇していた。
あぁ、本当にあった。
玄関に置いてあるスニーカーを見て、なんとなくホッとする。ホッとする理由を特に考えることもなく、廊下に適当に置かれているスリッパに足を通してリビングに入った。考える必要性なんてある？わからないけれど、あの子なら考えちゃうんだろうなと、艶黒で長いあの髪の毛を思い出す。
旅行って、あんな簡単に飛んでいけるもん？とか思いながらも、Aが一歩進めるならいいかな、と思って背中を押したのは私だ。2人は順調に進んでいっているのだろうか。ジェノさんは見たことないけれど、あの子のこと好きなのかな。
《ジェノ、》
HC「ジェノが何？」
おかえり
《っわ、！び、っくりしたあ、》
ただいま、？
HC「スアジェノに会ったことあったっけ？」
《ないけど、》
自分の家じゃないくせに、きっとそれもブランド物なんだろう部屋着のパーカーを着て当たり前かのようにただいまと言ってくるこの人は、私の一体何？
そう聞けば、「ともだち」って言いながら少し背の高い位置から肩を組んでくるんだろう。「ねっ？」て笑顔でしながら。それを私は笑顔でふざけて返して、心の何処かを痛めてしまう。そんなのしたくないから、やめておこう。
HC「なに、ジェノ好きなの？」
《会ったことないってば》
HC「ふーん」
《、なに》
HC「旅行行ってるらしいじゃん」
《、羨ましいの？》
HC「は？」
《Aの事好きなの？》
HC「どうしたらそうなるワケ？風呂入ってきな」
《ここ私の家だってば！御曹司って暇なの？》
HC「あー？わかった、プリンとともに去ればいい？」
《プリンだけ置いてってよ》
HC「俺よりプリンかよ」
私の背中を押して脱衣所の方へと向かわせられる。バタンと閉められたドアのあとがヤケに静かになって、今日もいつも通りだ、なんて。ちょっと変なことを突かれるのも、ワーワーうるさくなるのも、いつも通り。
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きぬど(プロフ) - yoroseさん» ありがとうございます！遅筆ですがよろしくです☺️ (10月17日 18時) (
レス) id: 64123585f5 (このIDを非表示/違反報告)
yorose(プロフ) - スピンオフ待ってました！！ (10月16日 13時) (レス) @page1 id: ea5756c655 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きぬど
| 作成日時：2023年10月15日 17時
