Kahlua and Milk (ページ17)

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♦︎わかっているけどページ17

忙しくなるって分かってたし、それも覚悟の上で大きい仕事を引き受けたのに、割とすぐにヘドが出そうな私に心底呆れて軽蔑している。
「最初はそんなもんだよ」と、一緒に仕事している先輩は言ってくれているけれど、頑固な私がその回答をすんなりと受け入れられるはずもない。ストイックという言葉とは対極にいるのが私だと思っていたのに、意外にも自分がそういうタイプで、且つそれを理解せずに追い込んでしまうなんて、もはやそれにさえも呆れてしまう。

今すぐお風呂に入りたいけど、入ったら入ったで魂が抜けたように眠ってしまいそうでもある。そのままぷかぷか浮かんでいくのもありそうだ。

ヘチャン最近仕事遅い感じ?
そだね〜
頑張れって言って
ヘチャン俺が言ったら頑張れんの
頑張ってみようとは思うかも
ヘチャンかもかよ
ヘチャンファイト
淡白だな〜
ヘチャンなんて言ったら嬉しいんだよ
今日も仕事頑張ってえらいね〜🥰
ねえ既読スルーしないで
言わないの知ってるって
ヘチャンあと何分で着くんだよ
20分とか?
ヘチャンヘチャンくん夜食作ってるかもな〜〜
ヘチャン早く帰ったらプリンあるかもよ〜〜

今日来てないかなって。
もう夜遅いけどいいかなって。

無意識に確認してしまっている。Aとのツーショットになっているホーム画面に、通知が来ないかと。来てたらいいなって。すぐに確認するわけでもないのに。どうせちょっと時間を置いてから見るのに。

基本的に来ない日はない。
本当は遠慮なんてしなくてもいいんだろうけど、会いたいの反対側にある気持ちを敢えて出して、代わりに自分の中に押し込んでいる気がする。
本当は会いたいけど。そんなこと言ったら、あの人は笑って飛ばしてくれるだろうか。

理由なんて考えたくない。今精一杯考えることがあって、それ以外にエネルギーを使いたくない、そう思っている。そう思わなきゃと思っている。

もう、分かっているけど。知らないフリをしていた方がよかった。だって、今はしたくないもの。今は、まだ。

そう思いながらも、「亀みたいに帰ろっかな」と送っている私の口元はゴムで縛らなければいけないくらいに、だらしなかった。