Kahlua and Milk (ページ12)

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♦︎守るべき境界線ページ12

朝起きるとその景色は見たことのない白くて高い天井で、思わずそっちに手を伸ばしてしまった。何もない空虚なその天井に違和感を覚えて体を起こすと、そこは私の知らないふかふかのベッドの上だった。
少し離れたところには、果実の香りもアルコールも感じない彼が可愛らしい顔して寝ている。

少しずつ昨日の夜の記憶手繰り寄せると、食べる飲む話すのシーンだけが流れてきて、とりあえず今朝の身が安全なことがわかった。
そして、メイクのついたままの顔と汗でベタ付いた体とそれを覆う少し大きめの部屋着。

恐らくその服の主であろう、今のうのうと寝ている体を少し蹴ってみた。
目が開いたのを確認してその顔に近づくようにしゃがむ。

「、ん」

《起きて。もっかい蹴るよ》

「扱い方どない」

《起きてよ》

「なに」

《これ、自分で着た？》

「着させようとしたら顔つねるくらい抵抗してきたのはどこの誰かなー」

《､､､ごめん》

「いいって」

ごめんもっかい寝る、って言ってまた寝に入ったヘチャンは本当にその言葉の通りすぐに眠ってしまった。

とりあえず自分の荷物全部持っていって、18階下の自分の部屋に駆け込んだ。お風呂場にドタバタと入ってメイクと汗を落とす。

今日が休日でよかった。昨日の出来事の整理をお風呂に浸かりながら頭の中でゆっくりできる。ぷくぷくと顔半分をお湯に浸けて反復していた。

やめろやめろと言われながら、飲んだお酒。
まったく、彼の前だと黒歴史しか残せないのか私は。

呆れながらシャワールームを出ると、スマホに昨日追加したのであろう彼の連絡先から、「服忘れてる」って通知がきている。

急いで髪の毛乾かしてそこら辺にあった服を適当に来て最上階に上がり、さっきまでいた記憶の部屋のドアベルを鳴らす。

「はや」

《うん急いだ》

「シャワーしたんだ」

《わかる？》

「まだ若干湿ってる」

《ん、、寝れたの？》

「まあまあ、？
それより服、取りに来たんだろ」

《あ、そうそう。失礼しまーす》

急いだ理由は、荷物をわざと置いてしがみつくようなやつだと思われたくなくて。ポルシェにピアス落とす女と一緒にされたくなくて。ただそれだけ。

私は昨日彼が引いてくれた、「ともだち」の一線を守るんだ。