＊ ページ40
時間にして数分程度、だったんだと思う。
私は携帯を握りしめたまま、その場に呆然と立ち尽くしていた。
不意に、ｶﾞﾁｬﾘ、と扉が開く音が聞こえて。
「A…わ___っ！」
ほとんど反射的に、彼の胸元へと飛び込んだ。
たった数日会っていないだけなのにひどく恋しくなってしまっていた彼の匂いをいっぱいに吸い込んで
ぐりぐり、と頭を押し付ける。
我慢していた言葉がぽろり、と口の端から溢れて
濁流のように止まることなく流れ出す。
「ごめ、…なさっ……私…わたし、ひどいことっ…！言っ、て___」
「…うん」
「好き、なのに……弔くん、の、こと…だいすき、なのに…」
「うん」
「帰って、きてくれ、て__あり…がと____」
「____！……うん。」
支離滅裂な私の言葉を、彼はまるで宥めるように相槌を打ちながら聞いてくれた。
そして、私が落ち着くのを待ってから
「A、こっち向いて」
私の顎を掬う。
「俺の方こそ、ごめん。
お前のこともっと構ってあげてれば良かったのにな」
そして、「コレ、」と足元を指差す。
彼が指差した方に視線を落とす。
彼が帰ってきた時は彼にしか目がいかなくて全然気が付かなかったが、そこには大量の紙袋やら何やらが置かれていた。
「俺、Aに何もしてやれてなかったから
お前が好きそうなモンとか、色々買ってきた。
何が嬉しいかわかんなかったから____悩んでたらこんなに時間経ってた、ごめん。」
え____？
「コレ全部、私のために？」
「そう。」
ざっと見ても10個以上。
悩みながらお菓子とかを買っている彼の姿を想像するとくすり、と笑える。
なんだかどうしようもなく愛おしくなって、彼の首元にぎゅっ、と抱きつく。
「……許してくれた？」
不安そうに聞く彼に、ちょっと意地悪をしたくなる。
「やだ。まだ、許さない。」
え、と驚く弔くんに、
“ちゅーしてくれなきゃ、やだ。”
なんて可愛いお願いしてみるのも、ワガママじゃないでしょう？
数秒固まる彼は、
すぐにふわり、と笑って。
ん、と目線を合わせるように屈んで。
私に甘い甘いキスを落とした。
きっと、弔くんが買ってきてくれたどのお菓子よりも甘いキスを。
そうして、彼は少しだけ離れて、こう言うんだ。
『ただいま。』
遅いよ、なんて返した私と彼の影が再び重なるまで
今度はもう時間なんか、かからなかった_____。
謝罪＆ご挨拶＆お知らせ【重要】→←ただいま《死柄木弔 お砂糖2つ》
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 203人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒロアカ大好き - あと、リクエストよろしいでしょうか？リクエストはお砂糖5つで、オバホとクロノで耳責めお願いします！！受け付けてなかったらすいません…！出来たらお願いします！ (2023年4月29日 22時) (
レス) id: 2822ecfe2a (このIDを非表示/違反報告)
ヒロアカ大好き - 占ツクの方が見やすいので占ツクで継続して欲しいです！ (2023年4月29日 22時) (レス) id: 2822ecfe2a (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - まーさん» まー様、コメントありがとうございます！お久しぶりです。占ツク、了解いたしました！まー様のご意見も参考にさせていただきますね。今後ともよろしくおねがいいたします*_ _) (2023年4月8日 21時) (レス) id: 1095a03807 (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - Twitterのアカウント持ってないので、占ツクで継続していただけたらありがたいですm(_ _)m (2023年4月8日 20時) (レス) id: 859eb8a7c1 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - ランさん» ラン様、コメントありがとうございます！更新遅れまして申し訳ありません…。占ツクですね！了解しました。ラン様のご意見も参考に今後について考えていきますね。コメント本当にありがとうございましたm(*_ _)m (2023年4月8日 7時) (レス) id: 1095a03807 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫蘭 | 作成日時：2020年5月23日 13時
