〃 ページ15
今日は何人殺したんだっけな……。
呆けていると、知らない声が飛び込んできた。
「あ、この人が槐 暁人さんですか」
「うん？」
咄嗟に返事をしてしまったが、声のした方を見るとやはり知らない顔だった。
身なりの違和感が払拭できず、首に刻された覚醒の証もまだ真新しく見える。新しい死神とはこいつか、ということはすぐに察した。
「夏目叶汰っす。よろしくお願いします」
「ふーん。……俺が言えた事じゃないけど、生前は随分とひねくれてたんだね？」
「ひねくれた理由こそしょぼいもんっすけどね。槐先輩みたいに正当な理由がある訳でもない」
正当、ね……。
未だ昨日の事のように感じる初めて覚醒した日を思い出し、ため息をついて言う。
「……あんな理不尽を、正当だとは言わないで欲しいね」
「恨んでも仕方ないって言っただろうが」
「ごめんなさーい」
これ見とけ、と上司から手渡された資料を適当に読んでいく。生前はどんな人物だったのか──その部分を見ても、基本的に双子の兄が完璧な人間であったが故の劣等感しか無かったのが正直な感想だった。
死ぬ間際までも、そんな兄の事を考えていたのか……。
死ぬ直前も図書館へ行って覚醒したとの記述を見て、覚醒した日と場所が自分と同じである事に気付いた。
「……。あぁ、図書館にいた少年ってお前の事？」
「そうですよ。当時こそ分かりもしませんでしたけど、よく考えればかなり歴史的な瞬間に居合わせたんすよね俺」
随分な時間が経ったもんだと思いながら、目を通した資料の最後にある備考欄には案の定「一部記憶無し」という文言があった。
「君も大切な事を忘れたんだねぇ」
「……あ」
必ず忘れる“大切な何か”を例外なく叶汰も忘れてしまっているらしく、本人も今気付いたようだ。
「聞いてないっすよ……1番忘れたくなかったのに……!!」
「俺や翠蓮さんに吠えても仕方ないんだけどさ。……研修期間中は色んな奴に会うだろうから、思い出す方法でも聞いときなよ」
悔しそうに涙目になりながら必死で思い出そうとする叶汰を横目に、静かに部屋へ戻った。
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シャル＠如月唯奈(プロフ) - ハジメマシテ！ULOGから来ました、シャルといいます。小説めちゃめちゃ面白かったです！文章の書き方とか世界観とかめちゃめちゃ好みで、ドンドン読んじゃいました(笑)これからも頑張ってください、応援してます！ (2020年1月18日 22時) (
レス) id: 6e2bf13c08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天楽 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月25日 23時
