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一ノ菓子ページ2

【朝】

椿「A…朝だ。早く起きないと…くすぐるよ。」
椿は、Aの肩を優しくゆさゆさとゆする。

A「椿。おはよう。くすぐるのはやめてね。」
眠い目をこすりながらAはのそり、と起きる。
今日も日常が始まる。

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【厨房前】

今日子「椿さん、Aさん…今日も気を引き締めて。」
特に椿さん、あなたはAさんに過保護すぎます。まあ、可愛いのは分かりますが。と椿を睨み付ける。

椿「分かりました。」
A「今日も精進致します。」

今日子「椿さん、こちらへ。」
椿についてくるようにいうと、Aに微笑みかける。
Aも嬉しそうに微笑む。

椿は悔しそうに今日子を睨んだ。

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【和室】

今日子「椿！Aさんは鈍感だから気づいていないけれど、あなた、Aさんが好きなのね！」
キラキラ。目を輝かせて手を揉みはじめる。

椿「お母様、いい加減にしてください。婚約者がいるのですし、婚礼も迫っているというのに…」
まんざらでもないのだが、母の手前そんな事は言えない。

今日子「そう。ならば後悔のないように。光月庵
　に恥をかかせないで頂戴ね。」

椿「はい。」

【今日子の脳内…】
Aさんの事を好きなのねっ！分かります、母様にはっ！応援するわよ！椿さん。恥ずかしがらないのよ。うふふ。

【椿の脳内…】
何を言いだすと思えば、当たり前のことだった。
Aの事は小さな頃から好きだし、ずっと一緒にいたいけれど、義弟にそんな事言われたって困るだけだよな…、

……………………………………

【厨房】

こんにちは。高月Aです。唐突に申し訳ないのですが、椿に抱きつかれました。

　何故？

椿「それ、菓名は？」
私がつくっているのは薄桃色のお菓子。
A「うん、椿の息吹きよ。」

椿「やっぱりAの和菓子はいつ見ても美味しそうだよね。」

褒めてくれるのね…！でもっ…
うーん、離してほしいなあ。

椿「離さないから。」

A「なんで分かったの？」
驚きに目を丸くするA。

椿「なんでだろうね？」
椿はAを試すように言った。

A「分からないわ…」
むむむ、Aは頭を抱える。

椿「俺がAの事、…だから。」

A「え…？何、私の事、何なの？」

椿「それは、ひ、み、つ。」
そう言うと厨房を出ていってしまった。
　

気になるなぁ。Aはため息をついた。