９１ ページ7
ちょっと長い回想に入ります
ツバキside
―9年前・旧東京―
突然のお袋の死。
それにより、優しい親父はまるで別人になった
よっぽど死がショックだったらしく、親父は酒とたばこに溺れ気性が荒くなった
それは日常生活にも支障をきたすようになり、教師という職も捨て常に家で酒を飲みながらテレビを見る
たまに聞こえる、お袋を思う泣き声がとても痛ましく、思わず耳を塞いだ
そのうち、危ない道の人間ともつるみ始め、いつしかビール缶ばかりの机の上には白い粉の袋大量にあった。そしてより一層気が荒くなり、私に当たり始めるようになった。
家にいるのが、好きではなかった。
そんな親父だったが、金はあったのと、暴力だけは絶対に振るわなかった。
それだけでも、前の世界の親より何倍も救われた。
そして、お袋の死から半年が経ったある日。
その日は朝から涼しく、半袖では寒いくらいの気温だった
夕食を食べ、宿題を済ませようと自分の部屋で勉強をしていた時、突然部屋の扉が開く。
扉を開けたのは、親父だった。
「……ツバキ」
また、当たられるのかと思いながらどうしたの？と親父に聞く
「今まで、済まなかった」
「…え」
思わず、間抜けな声が口から漏れる。
親父の顔を見ると、その顔つきはやつれたものではなく顔色は悪いがかつての優しい親父のものだった
「…絶対に、お前には…迷惑はもうかけない。俺が今日、終わらせてくる。
だから、安心してくれ」
親父は、優しく笑った。
こんな顔、見たのっていつ振りだろう
そして親父は部屋を出ていく。残された私は、思わず固まっていた
…親父、いったい何が…？
それに、終わらせてくるって何を…？
「……っ、まさか…！」
最悪の事態が脳裏をよぎり、私はとっさに部屋を出る。
何時も酒を飲んでいるリビングにも、どこにも親父はいなかった
玄関には、親父の靴はない
「くそっ…！」
私は家を飛び出した。
決して私自身に、優しくしてもらったとかそういうわけではない。私が、関わったことはない。
でも、それでも、本当の家族というものを教えてくれた彼を失うのは嫌だった
「次の日死体で見つかるとか、洒落にならねぇからやめてくれよ親父…！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
榛の花 - 続きよろしくお願いします (2020年8月4日 17時) (
レス) id: e7e1fd01f8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - マイさん» かんっぜんに間違えましたね！マイさんご指摘ありがとうございます！！！ (2020年7月19日 10時) (レス) id: fcc3212c03 (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - 103と105同じ内容じゃないですか？わざとだったらすみません！ (2020年7月18日 23時) (レス) id: 295d0246ce (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - Elfaさん» ありがとうございます！！！亀更新ですが頑張ります！！！！！ (2020年7月14日 12時) (レス) id: af85f8939e (このIDを非表示/違反報告)
Elfa - とても面白いです！再度エヴァンゲリオンにハマりました(*^^*)がんばってください！ (2020年7月13日 20時) (レス) id: 3067d420d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白 | 作成日時：2020年6月28日 19時
