一番行きたくない世界って言ったらその世界に連れてかれました２ 【エヴァンゲリオン】

６７ ページ29

　

　

「…三年ぶりだな、こうして三人で墓参りに来るのは」

「僕は、あの時逃げ出して…それから来てない。ここに母さんが眠っているなんてピンと来ないんだ、顔も覚えてないのに

…Aは毎年、来てたよね」


『あー…ん、まあ。私も顔とかは全然覚えてないけどね。もしここに母さんが眠ってないとしても…せめて、形だけでもね』


私達は今、家族三人で母さんのお墓参りに来ていた。
ミサトさんからの提案だが、私とシンジは父さんに墓参りに一緒に行かないかと声をかけたら、意外にも一緒に来てくれた


「人は思い出を忘れることで生きていける。だが、決して忘れてはならないこともある。
ユイはそのかけがえのないものを教えてくれた、私はその確認のためにここにきている」


「写真とか残ってないの？」

「…残ってはいない。この墓もただの飾りだ、遺体はない」

「先生の言った通り…全部捨てちゃったんだね」


「全ては心の中だ、今はそれでいい」


今は、ね…。
考えてみたら、写真を残してないのも母さんを独り占めしたかったから…？

…考えすぎかな。


決して楽しい会話でも何でもない。
でも…こうやって三人でお墓参りに来て、母さんについて話して、まだ家族なんだなって思える


まだ、少しくらいは…希望があるかもしれないって


その時、上空からネルフのヘリが轟音を立てて下りてくる

「時間だ、帰るぞ」



『父さん』

「なんだ」


『3人でこれて嬉しかった、一緒に来てくれてありがとう』

「ぼ、僕も！…今日は父さんと話せてうれしかった」


「…そうか」


その一言を残し、父さんはヘリに乗り込む
ふとヘリを見ていると、窓越しにレイちゃんと目があった

レイちゃん、無事に退院できたんだ…よかった。次会ったら、ちゃんとお礼言うぞ！



『…私たちもいこっか、ミサトさんも待ってるし』

「うん」

６８→←６６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す