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ツバキside
「はぁっ…はぁっ…!」
私の研究室は、それは無残に荒れていた。
大量の研究資料は床にばらまかれ、思い切り殴った壁はそこだけ凹んでいた
いつか、貴方の部屋なにもないのね。と呆れたリツコからもらった観葉植物は土ごと床にぶちまけられている
あの声は、もう聞こえない。
だが、あの嫌な記憶は一度脳裏によぎると忘れようとしても、なかなか忘れられなかった
「俺と違って学もないお前は俺の言うことを聞いてりゃいいんだよ」
「…いってぇなぁ…おい、俺に逆らう気か!」
「はっ、女のくせに男の俺に力で勝てると思うのかよ!」
あぁ、だめだ、やらないと、
その時、私の肩に何者かの手が置かれ驚いた私は、何者かを勢いよく床にたたきつけた
やらないと、殺される!
兄の首を思い切り絞め、哀れなうめき声が聞こえる
「…は、ははっ、なぁ、なぁ、散々馬鹿にしてた妹に殺される気分はどうだ?なぁ、教えてくれよ!!」
兄は、呻く以外に何もしゃべらない
「…こっちにまできて、てめぇは私を汚そうとするのか?…いや、いやよ、ねぇ、なんで、なんで!?なんで私なのよ!
……お前も私の苦しみを思い知れ!私を汚すやつなんて、死ね!死んでしまえ!!」
力を振り絞り、兄の首を絞め続ける。
「私が幸せになれないのはおまえのせいだ!お前が、お前がいなければぁっ…!!」
私の手が首をきつくしめあげた時、兄の手が私の頬を撫でた
「……あ」
その瞬間、私は正気に戻り咄嗟に首から手を離す
私が首を絞め、殺めようとしたのはあの心の底から憎んでいた兄ではない
「ごほっ…落ち着いたか、ツバキ」
私がこの手で殺めようとしたのは、ゲンドウだった。
彼の首には私の思いきり締め上げたことによる、手跡がついている
「ちが、ちがうんだ、私は、いま、あいつを殺そうとしたんだ、ゲンドウを殺そうとしたんじゃない」
「だから、お願い、」
私を嫌いにならないで。
それを言う前に、ゲンドウは私を宥めるような声で言う
「ツバキ、お前は何も悪くない」
「わるくない?」
「あぁ、そうだ。お前は悪くないんだ、何もかも」
「……わたしは、わるくない…」
あぁ、この男はこんな私を許してくれるのか。私を受け入れてくれる
「ツバキ」
「…あぁ」
「愛している」
「私もだ、ゲンドウ」
この男の愛しているなんて信じれるわけもないのに、今の私にはとても落ち着く言葉だった
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ウサ猫 - 私も同じくエヴァファンです‼︎また機会があれば語りましょう‼︎小説、面白いです‼︎頑張ってください (2021年10月2日 13時) (レス) @page25 id: c35838b126 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - cowさんさん» わー!!!ありがとうございます!そう言っていただけると、とても嬉しいです…!シンエヴァ公開延期されてしまいましたが、これからも頑張っていきます! (2021年1月16日 0時) (レス) id: af85f8939e (このIDを非表示/違反報告)
cowさん - 最っ高に面白いです!まだ読んでいる途中ですが、わくわくが止まりません。応援しています!! (2021年1月15日 23時) (レス) id: bade0bb78d (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - れいにゃさん» れいにゃさんありがとうございます!(やっべ、この後ばりばり凍結解除するつもりだったわ)。期待に添えるかどうかわかりませんが精一杯頑張ります…! (2020年6月23日 20時) (レス) id: 5c5f498b44 (このIDを非表示/違反報告)
れいにゃ(プロフ) - 気付いた時とても!!!( ゚д゚)ハッ!!!!となりましたwいつも面白く読ませてもらってます!これからも応援してます! (2020年6月22日 21時) (レス) id: e1aa2ef00b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2020年5月31日 14時