サッカーオタク、日本一を目指します【イナイレ】 (ページ10)

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豪炎寺君はそのまま私達に背を向け、去って行ってしまった。
　
　
「豪炎寺…」

『…豪炎寺君さ、去年のFFの決勝戦から一度も試合に出てないみたいなんだよ』

「えっ？」
　

私は豪炎寺君が去っていった方向を見ながら、守に話す。

『去年のFF決勝、木戸川と帝国学園の一戦。
あと一勝すれば日本一…そんな大事な試合に彼は何故か出場せず…木戸川は大差で負けた』
　

そして、今日のサッカーはやめたんだ、という言葉。

「出場しなかったって…一体豪炎寺に何があったんだ…？」

『調べてもわからなかった。でも、考えられるのは…

帝国学園との試合の直前で何かがあって…それがきっかけで、サッカーをやめたとか』
　

先程のフェンスを飛び越えた身のこなしからして、怪我ではなさそうだった。
それに守が目撃したという、豪炎寺君の強力なシュート。

　
『好きでも、どうしてもやめなきゃいけない事情があったのかもしれない』

　
だって、準決勝までの彼はとても輝いていたんだ。
全部自分の勝手な妄想なのかもしれない。

でもあんな誰もを魅了するプレーができる彼が、サッカーを嫌いになんてなるはずがない。

　
「…そうだよな。あんなすげぇシュート、サッカー好きじゃなきゃできない！」
　

俺、もう少し頑張ってみる！と言う守の笑顔は屈託のないものだった。
その笑顔に、私も自然と口元が綻んだ。

「……よし、練習だ！！A、やるぞ！」

　
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「うわあっ！」

『いつ見てもすごい特訓してるわ…』

タイヤに吹き飛ばされた守を見ながら、私は小さく呟いた。

木に吊り下げたタイヤを、体で受け止める練習。
これは、守がいつもやっている練習方法だった。流石に見慣れたけど、タイヤに吹き飛ばされる姿はさすがに痛々しい。

　
『守。足踏ん張って、へその下に力入れる！だよ！』

「っ…あぁ！もう一度だ！！」
　
と、守が立ち上がろうとした時、
　
　
「無茶苦茶だな、その特訓」

　
私達にとある人物が歩み寄ってきた。
　

　

「風丸！」

それは、先ほど守がサッカー部に勧誘していた一朗太だった。