Story 7 ページ28
薄く開いた扉からは、今いるところと比べようのない冷気がなだれ込んできた。
「……寒ぃな、おい」
「水の気配がする。それに薬臭い」
「保存室ってことは…死体がどっかにありそうだな」
保存室は一段と寒かった。
「こんなとこに長居する気はねぇ。
さっさと抜け出せる方法考えろよ」
考えることを放棄している男に目もくれずにAとレイチェルはひとつだけ石でできた標識のような、石碑?のようなものを読んでいる
「みを洗え……?レイ、なんて書いてあるのこれ」
「……えっと、その身を洗え
___主が求めるは清き魂と、そして清き身体なのだから。って書いてあるよ」
「主ってなんのことさしてんだろな?」
「……神様」
「神?」
「ううん、なんでもない」
この石に示されている主とは何を指すものなのか、レイチェルの言葉の通りそれは神を示すものなのかそれとも全く別な存在を指しているのだろうか
「何見てんだよ、こっから出る方法でも書いてあんのかよ」
「……ううん、書いてない」
部屋を歩き回っていた男の元へ歩いてくレイチェルの背をAは見つめた。先程はぐらかされたことに対して疑問を持っているのか、その顔には疑問が浮かんでいる
「……神ね」
いや、少し違うようだ
「そんなのがここに存在すんのかな、少なくとも自分が知ってるこの場にはいない気がするけどな」
その背をおって歩く彼女は、首元のチェーンに軽く触れてそう息を吐いた
神とは、一体なんなのだろうか。
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