Only One

10 ページ10

慎side









自分が風邪薬を処方してもらってる間に、Aは別の検査を受けに行った









「……」









検査が終わって合流してからも、Aと病院のベンチに座って動かなかった





もたれかかってるAはずっと俺の手を握ったままで、何を言ってもから返事で









慎「樹さんに怒られる……」



「うーん、」









反対の手に握られた診断書が風のせいで音を立てる









「どうしよう」




慎「なにを？」




「ずっと前に、ルカちゃんき検査受けたらどうですか？って言われて」




「まぁまこっちゃんもいるし、と思ってついでに……」









髪が抜けるのはストレスだった



ルカさんに言われたことと、急に変わった生活がストレスになってたんだろうなと思った









慎「……鼻がつまる」





「今年の風邪は鼻からだよね……」





慎「樹さんに言わない気？」





「だって言ったら振られるかも」





慎「樹さんの事わかってないね、それなら俺にちょうだい」





「あげない」





「だって、見て、病気じゃないよ、障害ってついてる」





慎「でも診断は不明確なものが多いって書いてある」





「さっきからそれ調べてたの…？優しいね、泣きそうだよ」









繋いだ手は力が入るばっかりで、帰る気配もない









慎「A、夕方になるよ」






「はぁ……陣さんに怒られる」






慎「いっぱい寝なよ、部屋貸すから」









さっきから鼻をすすってるのは
鼻がつまってるからなのか、泣いてるからなのかわからない









「はぁー……来なきゃよかった」

11→←9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す