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樹side

結局あれから、Aと顔を合わせたくなくて、ちゃんと振られるのが嫌で、ご飯も食べず自分の部屋にこもった

でもどうしても腹が減って、部屋を出た夜の2時過ぎ

樹「…………まだ起きてんの」

ダイニングテーブルの前に座って、一点を見つめてるだけのAがいた

「いっちゃん、あれね、本気だよ」

樹「……あんな紙切れで別れるとでも、？」

「読んでないの？」

樹「読んだよ」

「物覚えが悪いし、すぐ忘れるし、よく喋るし、落ち着きないし、」

「いっちゃんも私のこと病気みたいって思ってた？思ってたけど言えなかった？知ってた？」

樹「思ってない」

樹「そんなのどこにでもいる」

「…………みんなとは違うもん」

どう声をかけるのが正解か、わからなかった

樹「なんで別れるって流れになんの」

「だっていっちゃん」

「私があれを理由にして逃げても怒らないでしょ」

「これ見て、やましょうさんがいつも手伝ってくれるノート」

「前誰かに言われたんだよ、なんでスマホのメモ使わないの？って」

「だってメモしてること忘れるから」

「物がないと、忘れるからノートに書いてるんだよって」

みんなマメだねって褒めてくれたけど

2冊目に入るまで続いてること褒めてくれたけど

『こうしないと忘れます』って言ってるようなもんだよね

そう笑うAと目が合うことはなくて

樹「……それだけじゃないんじゃない？言うこと」

最近の痩せ方は尋常じゃなかった

「もうない、」

樹「……まこっちゃんには言えて、俺には言えないもんね」

それ以上、彼女と話す気はなかった

樹「もう寝なよ」

Aを置き去りにして、2階に上ってる時

樹「…………。」

泣きながら、ビリビリ何かを破ってる音が聞こえた

戻ってその手を止める

それができなかった