出会い ページ2
「ふー…。ちょっと休憩入るわ」
「あ、はいっ」
広く長い廊下を進んで、店の外へ。
生憎、外は雨。
かちっ、とライターをタバコにつける。
「………はあ…」
仕事中の一服。
心が、落ち着く。
「……………ん?」
そんな中、ふらふらと傘もささずに歩く影を見つけた。
何となく気になって立てかけてあった傘をさしてその影へと近付く。
近付いて解った。
その影が、少年…中高校生くらいであること。
そして、傷だらけだということ。
「……少年、どうした?」
「…何やねん」
「こんな夜にあきらか未成年の傷だらけ少年がこの街を出歩いてて声をかけない理由が?」
「…ち、」
舌打ちをして、また進もうとする。
「おいおい、何処行くんだって。
少年、家は?」
とりあえず送るくらいはしよう。
こんな街だ、どんな目に遭うか解らない。
「………家なんて、ない」
そう、ぽつりと呟いた。
「…え?」
家なんて、ない。
家出か…?
でも、ただの家出にしては様子がおかしい。
荷物もないし、まず何故こんな傷だらけなのか。
そんなことを考えていたら。
「………おい、あんた」
「はい?」
「俺を、拾え」
「…………は?」
拾え、って…。
「あんた、ホストやろ?金持ってるんちゃう?」
普通だったら。
断るなり、もっと事情を聞くなりするんだろう。
でも、俺は出来なかった。
何故か親近感のようなものを覚えてしまって。
気付いたら、
「………いいよ」
なんて、口にしてしまったんだ。
思えば、これが全ての始まりだったんだ−。
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作者名:かーやん | 作成日時:2013年7月27日 12時